長女がモデルスカウト?
第46話
「佐々木さん、お願いします」
目の前で頭を下げている黒縁メガネをかけた冴えない男性に、理解不能という疑心の目を向けている佐々木家長女。
「清香ちゃんなら絶対いいモデルになると思うし、恭介さんの頼みだし、いいでしょ?」
親友が言うと長女は溜息をつく。
「モデルなんて興味ないし、そもそもどうしてそういう流れになった訳?」
「まあくんが私の写真を恭介さんに見せたらしいんだけど、隣に写っていた清香ちゃんにビビッと来たらしいよ!」
「将人とその、恭介さん?はどういう関係なわけ?」
「あ、すみません。自己紹介がまだでしたよね。高峰恭介です。将人はバイトの後輩です」
「後輩ですか…」
遅くながらも自己紹介をされるが怪しさは晴れない。
「佐々木さんの容姿も勿論綺麗で理想なんだけど、実際に会ってみてオーラというか大人っぽい雰囲気のなかに澄まされた空気感が魅力的だと思ったんだ」
そして、スカウト理由を語られる。
長女の気まずさはMAXである。
「はあ…」
「恭介さん!清香ちゃんは確かにセクシー美人かもしれないけど笑うととっても可愛いんですからね!」
「あ、あぁ、そうなの?確かに写真で見たのは可愛らしかったかも…」
「フォトブック作るならその笑顔も納めてくださいね!」
「はは、肝に銘じとくよ。フォトブックは作るかは分かんないんだけどね」
「待って待って、まだ了承したわけじゃない…」
「じゃあ、何で嫌なの?恭介さんは清香ちゃんの事変な目で見ないし純粋にモデルスカウトをしてるんだよ?」
「へ、変な目!?」
親友の言葉に先輩が動揺するが長女は苦慮する。
確かに親友が言った事も断る理由ではあった。
「それに恭介さんの写真見たらきっと気持ち変わるよ!」
「…作品って、今見ることは出来るんですか?」
「あ、あぁ、えっと、携帯に入ってるよ」
そう言って先輩は自身の作品を長女に見せた。
絶妙な光の扱い方で明るいけどどこか儚い作品に長女は見惚れた。
「どう?どうどうどう?」
「ちょっと愛、うるさい」
「素敵でしょ?」
「…確かに、とってもいい作品ですね」
「本当?嬉しいなあ」
「モデル、引き受けます」
「え、本当に?」
「はい。但し、今回だけです」
「今回だけでもとても嬉しいよ…!本当にありがとう!」
先輩はまた長女に頭を下げた。
「それで、撮ったものはどうするんですか?フォトブックにするかは分からないって言ってたけど…」
「あぁ、肝心な事を言ってなかったね。えっと、個展があるから、そこに出すんだ」
「個展…」
個展を開くなんて本当に有名じゃないと開けないだろう。
長女が意外だと思っていたことが顔に出ていたのか先輩は言う。
「あ、ちょっと意外って思ったでしょ」
「すみません」
「気にしないで。初めて会った人にはいつも言われるから」
苦笑いする先輩に長女は申し訳なさが募る。
「撮影の日程は後日連絡するから連絡先教えてもらってもいいかな?
「はい」
そしてお互いの連絡先を登録し、先輩は仕事があるからと帰っていった。
「恭介さん良い人だったでしょ?」
「そうね。久々にあんな人に会ったかも」
「清香ちゃんに近づく男は本当ろくでもない人が多いもんね~私も嬉しい!付き合っちゃえ!」
「なに馬鹿な事言ってんの」
「恭介さん、いいと思うんだけどな~」
「でもモデルって何するんだろう」
「やっぱポージングとか?」
「いや、見た限り恭介さんの作品ってそういう感じじゃなくない?」
「確かに…」
なんて話しながら2人は次の講義に向かった。
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