バーゲンに行く姉弟

第44話

街のショッピングモールに見目麗しい男女4人がお客さんの目を惹いていていた。




「清ちゃん、早く買い物終わらせてね」


「えぇ?折角来たんだからくまなく見るに決まってるでしょ」




その4人のうちの1人、人混みに憂鬱そうな表情をしていた佐々木家三男は長女の言葉を訊いて更に表情が暗くなる。




「今日は人が多いからね。早く帰りたくなるのも頷ける」


「奏君もよく付き合ってくれるよね」


「清香ちゃんの頼みなら断れないでしょ」


「奏君も断れないんだ」


「なんか、断ったら大変なことになりそうじゃん」


「危機感知能力が高すぎる」


「潤弥と純香の幼馴染やってればそりゃね」


「二人とも喋ってないでちゃんとついて来いよ!お前らがはぐれたらお姉の荷物全部俺が持つ羽目になる!」


「潤弥、真後ろで大声出さないで。うるさい」


「こんだけ人が多かったら大声出しても同じじゃね?」




次男の言う通り、バーゲン初日という事もあり平日にもかかわらずお客さんが多い。




「至近距離ってこと忘れてない?鼓膜破れるでしょ」


「え、そんなにうるさい?」


「清香ちゃん、目的の店あるの?」




少し傷ついている次男を無視して幼馴染は長女に訊いた。




「いつも行ってるお店に行きたいんだけど人が多いわね」


「それは俺がさっきから言ってるんですけど」


「んー、取りあえず行ってくるわ。ここで待ってて」


「へーい」


「早く帰ってきてね」


「いってらっしゃい」




服を吟味している女性が沢山いるお店へ入る長女を3人は見送った。




「俺、隣の店見てきていい?」


「奏君が残ってくれるならいいけど」


「誠弥の頼みなら喜んで残るよ」


「ありがとう。行ってくる」




次男は2人を残して長女の入って行ったお店の隣のお店へと颯爽と入って行った。




「誠弥は見たいものとかないの?」


「この前、服買ったばかりだから特に欲しいものないんだよね」


「でも清香ちゃんが何か買ってくれるんでしょ?」


「うん。決めとけって言われた」


「俺も言われたんだよね。何買ってもらおうかな」




そう言って幼馴染は悩み始めた。




「うわ、」




すると突然、三男が眉間に皺を寄せて顔を俯けた。




「ん?どうした?」


「同じ学校の人だ…」


「会うの嫌なんだ?」


「嫌というか、なんか面倒くさい」


「あー、誠弥っぽい」


「奏君は嫌じゃないの?」


「考えた事なかったな。さっきもうちの制服着た人いたけど知らない人だから話しかけてこないし。そう言うもんじゃない?」


「普通はね。俺も奏君と同じ学校にすればよかったかな。兄弟が有名すぎて被害が大きい」


「はは。でも、うちの学校でも純香と潤弥は有名だよ」


「え、なんで」


「純香がSNSで有名らしいね」


「純ちゃん…」


「見せてもらったけど、特に他の子と変わった内容を投稿してるわけじゃないみたいだけど」




なんでだろうねー、と幼馴染は三男に訊くが三男も分かんないと首を傾げた。




「ただいまー。お姉より俺の方が早いじゃん」


「清ちゃんは女の子だからでしょ」


「よく純香が言ってるやつか」


「純香はいつも何を言ってんの」


「女の子の服は可愛くて種類も多いんだから悩むんだよ!だって。男だって悩むわ」


「あ、清香ちゃん出てきた」


「お待たせ」


「うわ、めっちゃ買ってるじゃん」


「当たり前じゃない。何のために今日来たのよ。はい、潤弥、持って」


「なんで俺から??」


「年功序列?」


「思ってたより重い!これは靴の重さだ!!」


「残念、鞄よ。はい、次行くわよ」




次のお店へ向かっている最中、長女は振り返ってついて来ていた2人に問う。




「2人は欲しいもの決まったの?」


「んー、強いて言えばセーターが欲しいかなー」


「奏太朗はセーターね。誠弥は?」


「俺は…」


「あ、靴は?この前、服買ってたでしょ?」


「知ってたんだ」


「当たり前じゃない」


「うん、じゃあ、靴でいい」


「ご飯もここで食べて行く?奏太朗は家で準備されてる?」


「多分されてない。俺より雅弥君とか純香は大丈夫なの?」


「純香は遊んで帰るらしいし、雅弥はもう大人だから何とかするでしょ」




そう言って先陣を切る長女に3人はひたすら付いて行くしかなかった。

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