大学でも有名な長女
第40話
大学内のカフェテリア。
そこでコーヒーを飲みながらノートパソコンと睨めっこをしている佐々木家長女はどこかの女性誌に載っていそうなおしゃれな雰囲気を醸し出している。
その証拠に通りすがりの学生は目を奪われている。
「清香ちゃん、進み具合はどう?」
そこにこれまた綺麗な女学生がやって来た。
「どうもなにも全く進まないわよ。文献が少なすぎる」
「ふふ。教授も無茶言うよね」
「本当よ」
「それだけ清香ちゃんが頼りにされてるんだよ」
そう励ます彼女の笑顔に長女は静かに癒される。
「そう言えば、まあくんがね、これくれたの」
「…チョコ?」
「そう!美味しくて有名なお店のチョコなんだって。一緒に食べよ?」
「へえ。そうなんだ。私ももらっていいの?」
「勿論!まあくんが一緒に食べてって言ってたし、疲れた時には糖分摂取だよ!」
「ありがとう。それより、まあくんって訊くと雅弥を連想させるわね」
「雅弥君もまーくんだもんね。でも私のまあくんはまあくんだけだよ」
「そうなんだけど、そうなんだけどね?」
「雅弥君は雅弥君って呼んでるからいいでしょ?」
首を傾げて問う親友にそれ以上何も言えず口を紡ぐ。
「今日ずっとここでやってるんでしょ?他学部の人が言ってたよ」
「他学部って誰よ」
「理工学部の人」
「何故全く違う学部の人が私の事を知っているの」
「だって、清香ちゃん有名人だもん」
その言葉に頭を抱える長女。
長女の通う大学は名門校でなかなかに大きい学校であり生徒数も多い。
その中で知名度が高いのはそれこそ某雑誌の読者モデルのような人たちばかりだ。
「清香ちゃんは頭もよくて顔もよくてスタイルもいいからね」
「外見だけ見て寄ってくる男はろくな奴いないのよ」
「お、流石、人気者の発言ですね~」
「愛は何が言いたいのよ」
「清香ちゃんも早く彼氏作って可愛い話を聞きたいなーって思ってるの」
「それはいつになるだろうね」
長女は親友の言葉に他人事のように呟いて、親友が開けた高級チョコレートの箱から一粒取り口に含んだ。
「美味しいね」
「本当?清香ちゃんが言うなら間違いないね。まあくんにも言っておくね」
「うん。私も帰りに買おうかな。妹に」
「あ、可愛い妹ちゃん?」
「まあ、可愛いわね」
「前から思ってたんだけど、清香ちゃんってもしかしてシスコン?」
「シスコンって訳ではない」
「でもあれだけ可愛い妹がいたら私も愛でると思う」
「アホだけどね」
「アホなんだ」
「頭はとんでもなく悪い。でも、お菓子作りはとても上手い」
「お菓子作れるなんて女子力…!」
「この前もマフィン作ってくれたわ」
「私も欲しいな~」
「今度言っておくわ」
そう約束すると親友はやったー!と喜んでいる。
「あ、まあくんから電話だ」
「早く出てあげな」
「うん!」
嬉しそうに電話をしている親友を長女は笑って見ている。
「まあくんがこっちに来てるらしいから迎えに行ってくるね!」
「いってらっしゃい」
長女は親友を見送った後、あんなに幸せそうなら彼氏を作ってもいいかもと思ったが、幸せになれる相手なんてそうそう見つからないものだと現実に戻り再びレポートにとりかかるのであった。
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