次男に巻き込まれる長女

第39話

ある日の夕方、佐々木家長女はいつも通りバイト帰りに買い物へ行こうとスーパーへ向かっていた。


途中、女子高生に囲まれている見慣れた男子高校生が見えた。


デジャブだなと思いながら眺めていれば彼が長女に気づき手を振った。


周りの女子高生たちも長女に気づいたようで、長女は無視しようかと思ったが明らかに次男は助けを求めている目をしている。




「潤弥、あの人誰ー?」


「誰だっていいだろ。早く散れ」


「えー、ひどーい!」




なんて会話をしている。




「潤弥、こんなところで何してるの?」




珍しくげっそりしている次男が可哀想になり長女が声をかけた。




「家に帰ろうとしたのにこいつらがついてきたんだよ」


「私達がついてきたなんて、迷惑みたいな言い方やめてよ〜」


「迷惑だってさっきから言ってんじゃねえか。素直に受けとめてさっさと帰れ」


「あんた、女の子になんて酷い扱いなの…」


「お姉さんもそう思いますよね〜!」


「潤弥っていつもこうなんです〜!」


「というかお姉さん、潤弥の彼女ですか?」


「お姉さんが彼女なら納得ですー!綺麗ですもん!」


「潤弥のどこが好きなんですか〜?」




全く話を聞かない彼女たちは戸惑う長女にもお構いなしに勝手に話を進めている。


これは確かに迷惑だ。




「私、潤弥の彼女ではないの」


「えっ、じゃあ潤弥の片思い!?」


「それだったら私応援しちゃう!」


「潤弥頑張って!!」


「明日また報告よろしくね〜!」




そう言って彼女たちは去って行った。


嵐のようだ。




「あんた、とても元気な子達に気に入られてるのね」


「元気なんてそんないいもんじゃねえ。俺の周りはロクでもない女ばっかだ。話を全く聞かねえ」


「でも勘違いしてるみたいだけどいいの?」


「しばらく寄って来ないならいいよ」


「でも根掘り葉掘り聞かれるんじゃないの」


「確かに」




どうしようか、と悩んでいるようだ。




「普通に姉だって言えばよかったじゃない」


「お姉だってバレたらあいつら絶対お姉に俺のこと聞くじゃん。俺もお姉も迷惑じゃん」


「別にいいわよ。それくらい躱せる余裕はあるわよ」


「さすがお姉様。じゃあ明日そう弁明しとくわ」


「そうしなさい」


「じゃ、俺先に帰るから」


「は?何言ってんの。買い物についてきてもらうに決まってんじゃない」


「え、決定事項?」


「当たり前でしょ。今日は潤弥の好きなもの作ってあげるから」


「それなら行く。俺、唐揚げが食べたい」


「はいはい」




そう言って2人は並んでスーパーへ向かった。



翌日、次男は女友達に長女のことを彼女でも自分の片思いでも無く実の姉だと弁明すれば、更なる質問責めにあったのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る