長男の????

第35話

休日の真昼間。


佐々木家長男はレポートに必要な参考書を図書館に探しに行った帰りに立ち寄ったカフェで一人の男に声をかけられた。




「あれー?雅じゃん!」


「……どちら様でしょうか」


「酷いな~親友様を忘れるなんて」




へらへらと笑って長男に話しかける自称長男の親友は見目は整っているものの誰がどう見てもチャラ男である。




「なんでこんなところに輝一がいんだよ」


「俺がどこで何していようと勝手だろ?」


「家に引きこもってろよ」


「久々に会ったのにつれないな~。なあ、今から女の子捕まえて飯食いに行かね?」


「行かねえよ。一人で行けよ」


「俺だけじゃ女の子捕まえられねえんだよ。雅の顔が必要なわけ!」


「黙れクズ。地に還れ」




いつもとは違って口の悪くなる長男を気にすることなく、長男の前に座る彼に長男は至極嫌そうな顔をする。




「今日どうせ暇なんだろ?」


「暇じゃないから。お前と違って」


「はあ?何があるって言うんだよ」


「課題があるんだよ。お前と違って」


「えー真面目かよー!」


「当たり前だろ。お前と違って」


「ユウトウセイになってしまって俺は悲しいよ」


「お前とは違うからな」


「めっちゃディスるじゃん」




しくしくと鳴きまねをする親友に長男は白い目を向ける。




「中学の頃はあんなに荒れてたのになあ」


「黙れ」


「あの頃は俺と一緒にあんなことやこんなことしたって言うのに…」


「黙れよ」


「あの頃に相手した女の子たちは悲しんでいることだろうよ…」


「黙れっつってんだろうが」


「きゃー、こわーい!」




そう言うも全く怖がらず寧ろ楽しんでいる友人はコーヒーを頼みにカウンターに向かい、出来立てのコーヒーの入ったカップを持って帰ってきた。




「もういいから帰ってよ」




戻ってきた友人に頭を抱えて心の底から願うように言う長男。




「なんでだよ。久々に会ったのにさ」


「周りからの視線が痛いんだよ」


「それはイケメンが揃ってるからに決まってんだろ。俺がいなくなっても視線は減らねえよ」


「……こんなのが主席とか世も末だな」


「はは。うちの大学偏差値低いからな」


「俺、なんでこいつと友達なんだっけ」


「それは、一匹狼だったお前を俺が拾ったからだ」


「お前が救ったみたいな言い方すんな。お前が勝手について来てただけだから」




思い出したくもない事を思いだしてしまってテンションが急降下の長男とは対照的に友人は未だにへらへらと笑っている。




「切ろうと思えば切れるのに、未だに切らないあたり、雅だなって思うよ」


「はあ?」


「変わらず優しいってことだよ」


「……」


「あら、照れてる?照れてるの?雅ちゃん」


「帰る」


「え、まじで帰んの?じゃあついて行っていい?」


「来てもいいけど、どうせ誰にも相手にされないだろ」


「潤弥いる?」


「さあ?」


「まあいいや。暇だし行こうっと」




そう言って二人は一緒に佐々木家に帰ったのであった。


その後、親友は潤弥と悪戯談議に話を咲かせたとか咲かせなかったとか。

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