佐々木家の冬

第34話

風が吹かなくても凍えてしまう時期がやって来た。


佐々木家ではクリスマスに向けて準備をしていた。




「クリスマスツリーの飾りつけだー!」


「今年も新しい飾り買ってきたぞ!」


「え、潤君が買ってきたの?」


「なんだよ、誠弥。不満なのか?」


「……不満というか、不安」


「誠弥、安心して。私がちゃんと付き添ったから」


「それなら安心だね」


「二人とも失礼だな!」




高校生組が騒いでいるなか、長男は庭にある倉庫から大きなツリーを引っ張り出している。




「潤弥、ギャーギャー言ってないで雅弥を手伝いなさいよ」


「俺を癒してくれるのはきっとお兄だけだ…慰めてもらうついでに手伝ってくる…」


「どっちでもいいから早く行ってあげな。寒そうだから」


「お兄―!!助太刀に来たぜ!!」


「おぉ、潤弥、助かるよ。でも、裸足でリビングの窓から出てくるなよ」


「近いじゃん」


「近いじゃんじゃなくて皆が寒がってるから」


「どうせここからツリー入れるだろ?」


「まあ、そうなんだけど…お前は寒くないのか?」


「え?寒いけど?早く入れようぜ!」




そう言って次男は長男を手伝い、自分が出てきたリビングにある縁側の窓からツリーをリビングへ運ぶ。




「潤弥、窓は開けたら閉めなさいって死ぬほど言ってるわよね?」


「いや、閉めても直ぐ開けるじゃん!」


「馬鹿と違ってこっちは寒いのよ!」


「馬鹿って誰だよ!」


「あんたしかいないでしょう!」


「まあまあまあ。清香は炬燵に入ればいいだろ?なんでテーブルにいるんだよ」


「炬燵は魔物よ。あれに入ったら私はきっと抜け出せない…」


「震えるくらいなら今すぐ炬燵に入れ。風邪ひくぞ」




時々抜けている長女に長男はそう命令し、長女は渋々炬燵に入った。




「よーし。飾りつけしていくぞ~!」


「待って、潤弥。星は最後だから。置いて」


「は?一番最初に飾った方がテンション上がるだろ?」


「てっぺんの星を飾るのはメインイベントみたいなものだよ?それを最初にするなんておかしいんじゃないの?」


「メインイベントはイルミネーション点灯するとこだろ。何言ってんだ大馬鹿者め」


「それもそうだけど!でも!星は!私が飾りたい!!」


「本音はそれか。お前の身長じゃ届かねえだろ。黙って見てろ」


「ほんと腹立つ!!誠弥!何か言ってやって!」


「潤君も純ちゃんもこだわり強すぎ。もうちょっと静かに飾りつけしてよ」


「「すみません!!」」




三男の言葉で丸く収まった下双子は黙々と飾りつけをしていく。




「今年は正統派なツリーね。何年振り?」


「さあ?去年は動物の飾りだったっけ。あれもあれで面白かったけど」




上双子が炬燵に入って三人が飾り付けるのを見守る。




「あとは星!!」




次女がそう言って次男から星の飾りを奪い取り、椅子を持ってきてツリーの頂上に飾り付けた。




「よーし。点灯するぞー」




次男はそう言ってイルミネーションを付けた。




「今年は綺麗ねー」


「そうでしょー!」


「正直、この隣にあったサンタの飾りを100体くらい飾り付けたかった」


「いや、それは気持ち悪いわ。怖い」


「純香がついていてよかったよ」


「あー、炬燵温かい…」




5人は炬燵に入って暫くツリーを眺めて話す。




「今年は何のケーキが良い?」


「去年はチョコだったからシンプルな生クリームがいいわ。いちごが乗ってるやつ」


「俺はブッシュドノエルのめちゃめちゃでかいやつがいい」


「とか言いながら潤弥、そんなに食べないじゃん。お兄と誠弥は何がいい?」


「俺はなんでもいいよ」


「俺も」


「これだから男ってやつは」




そう呆れたように次女は言う。




「ということで今年はお姉のリクエストのいちごのケーキにしようかな!」


「俺の意見は無視かーい」




次男のツッコみを華麗にスルーし駅前のケーキ屋さんの話になっている長女と次女を軽く恨むが、次男は数分後にはケーキの事なんてどうでもよくなり三男とゲームを始め、それを見て単純だなと思う長男であった。

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