次男次女に絡まれる三男
第30話
「あれ?誠弥だ!」
下校時、学校の玄関から出れば聞き慣れた声で放たれた自分の名前にびくっと反応した三男。
「純ちゃん」
恐る恐る振り返り次女の名前を呼べば、満面の笑みで三男に抱き着く次女。
周りの目はそっちのけである。
「誠弥、帰るの?」
「そうだけど。純ちゃんは?今から遊びにいくの?」
「遊ぶ予定だったけど誠弥と会えたから誠弥と帰ろうかな!」
その言葉を訊き三男は次女の後ろにいる男子三人組をちらっと見て溜息をつく。
「駄目でしょ。約束してたんじゃないの?」
「でも私は誠弥と帰りたいんだもん」
「だもんじゃないよ。先に約束してたならそっちを優先しないと」
「でもでも、誠弥と一緒に帰れるなんてレアなんだよ?と言うか一緒に来てるのになんで帰りは一緒じゃ駄目なの?まずなんで同じ学校なのに全く会えない訳?」
「だって純ちゃん目立つ…」
「そう?」
「うん」
三男は頷き周りを見渡す。
確かに下校しようとする生徒の多くは2人を見ている。
「お、誠弥!今から帰んの?」
「……潤君」
「一緒に帰ろうぜ!」
すると、タイミングがいいのか悪いのか、次男も合流してしまい下校中の生徒の視線は必ず三人に向けられている。
それもそのはず。
佐々木兄弟の知名度は全校生徒に知れ渡っていて、3人が揃っている所は滅多にお目にかかれないのだから。
「はあ?何言ってんの。誠弥は私と帰るんですー」
「はあ?お前こそ何言ってんだよ。」
「私の方が誠弥を先に見つけたんだし!私が呼び止めてなかったら潤弥だって誠弥を誘うことが出来てなかったんだからね!」
「呼び止めてくれていたことには感謝する。でも、その前に純香、男が待ってんじゃん。遊びに行くんじゃねえのかよ」
「……わかった。ちょっと待ってて」
次女はそう言って離れた場所にいた男子三人に話をしに行った。
「せ、誠君、」
「あ、実樹、ごめん。もうちょっと待って」
「誠弥の友達?一緒に帰るのか?」
「そうだよ。だから潤君は…」
「お待たせ!遊ぶのは今度にしてもらったから帰ろう!」
友達の元から戻ってきた次女に三男は溜息をついた。
「純ちゃん、潤君も俺の話を訊いて。俺、友達と帰るから…」
「え?友達?誠弥の後ろにいる子?」
「そうだよ」
三男はそう言って友人を見た。
「あ、えっと、初めまして。井上実樹っていいます」
控えめに挨拶をする彼に次男は、よろしくなー、と笑顔で答え、次女はわなわなと震えている。
それに気づいた次男と三男は眉間に皺を寄せた。
「あ、あの…」
何もわからない親友は不安そうに次女に呼びかける。すると、
「か、可愛い~~~!!!!!」
「ひぇ!」
次女は彼に抱き着いた。
それを見ていた下校中の生徒(主に男子)が羨ましい目を向ける。
「ちょっと、純ちゃん!実樹が死ぬから!」
「純香、取りあえず離れてやれ」
ぎゅーっと抱きしめられて困り果て苦しんでいる彼から、次女を次男がべりっと引きはがす。
「誠弥、なんでこんなに可愛い友達がいるって教えてくれなかったの!」
「だって、純ちゃんうるさいし」
「本当に男の子なの?絶対女の子でしょ!実樹ちゃんって呼んでいい!?あ、このキャラクター好きなの?私も好きだよ~!」
「え、あ、はい…!」
「純ちゃん。やめて。確かに実樹は女子みたいに可愛いけど男だから。困ってるから」
「純香、本当にいい加減にしとけ。実樹が可哀想だ」
また抱き着こうとする次女に次男は注意する。
一方、次男次女の存在は知っていたものの関わったことのなかった友人は、
(潤弥さんに呼び捨てされた…!純香さんに抱き着かれてしまった…!)
興奮していた。
「実樹ちゃんも一緒に帰ろう!」
「え、えぇ!?」
「あ、この後用事あったりするの?」
「いえ、このまま帰ろうかと…」
「じゃあ、うちにおいでよ!」
「お前また勝手に話を…」
勝手に話を進めて歩き始めた次女に、次男は頭を抱えながらも付いて行く。
「実樹、本当にごめん」
「全然いいよ…!お二人とは中学の頃からずっと話してみたかったから」
「それならいいんだけど…」
友人の嬉しそうに放たれた言葉を訊いて安堵すると同時に、とうとう二人と会ってしまったと思った三男であった。
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