佐々木家男子のチョコ事情
第29話
今日は恋人たちの愛の誓いの日。バレンタイン。
佐々木家長男は大学で
「雅弥君、これ、受け取って欲しいです!」
「ありがとう」
「あ、私も!」
「私も持ってきたの!」
「私も私も!」
道を歩くだけで女子学生から呼び止められ、なかなか講義室まで行けない長男。
1限目を終えたばかりだというのに、綺麗な包みが沢山入った紙袋が手に下げられている。
「雅弥、俺たち先に行ってるぞー」
「え、待ってよ!」
「その塊から抜け出せたら待ってやるよ」
「遅刻すんなよー」
「ちょっと、嘘でしょ!?」
一緒に移動していた友人に見捨てられる始末である。
「ごめんね。遅刻は嫌だから通してほしいな。あとで、受け取るから」
眉をハの字にさせて困ったように笑えば女子たちはそれで満足なのか、仕方ないなー、と言って道を開けた。
「ありがとう。それじゃあ」
そう言って長男は颯爽と去って行った。
一方、高校では、
「潤弥君、はい、チロル!」
「私もチョコ余ったからあげるねー」
「私も持ってきてあげたよー」
クラスの女子からはあからさまに義理チョコを頂いていた次男。
「ありがとありがと」
「お礼はGODIVAでいいよ!」
「私は近くに出来たケーキ屋さんでお茶してくれたら満足!」
「私はCOACHのバッグで!」
「お前らお礼目当てなのはわかってたけど無理だろ!特に最後!それならいらねえよ!」
そう言って女子たちにチョコを返そうとする次男の机の横には、綺麗にラッピングされた他クラスからの本命チョコがかかっている。
「うちのクラスはもっと可愛らしい女子はいないのか」
「女子ってそういうもんだよ。お礼目当てばっかだ。因みに俺らも強請られた」
「がめつすぎる」
次男はクラスの男子達と頭を抱えていた。
そして、三男のクラスでは、
「誠弥君、あの、これ良かったら…」
「ありがと」
「誠君、僕からも」
「実樹も作ってくれたんだ」
「うん。女の子の友達と一緒にね」
「ありがと」
「私達と作ったんだよね~」
「へえ。そうなんだ」
「えぇ?それだけ?」
「ありがとう」
こちらも大量の本命チョコを頂いていた模様。
***
「ねえ、このチョコの山は何。いつにも増して多いわね」
「わ、高級チョコじゃん!誰が貰ったの!」
夕方、帰宅後長女と次女がリビングに広がるチョコを見て言った。
「講義には遅刻するし、帰りはいつもの倍時間かかるし疲れたよ」
「駅で知らない女子からチョコ貰ったんだけど食べれると思う?」
「食べられると思うけど、毒が入ってるとしたら潤君その人に何しでかしたのか気になる」
「何もしてないから大丈夫だな」
「お兄、疲労回復には糖分が良いって聞いたよ!今こそこの大量のチョコを食べなきゃ!女の子達からの愛もこもってるよ!」
「そうだな…」
ぐったりしている男子三人に大して次女は楽しそうである。
「それにしてもお返しが大変そうね。そもそも誰から貰ったかとか覚えてるの?」
長女は誰もが思っているであろう疑問を投げかけた。
「正直言うと覚えてないよな。名前書いてたりしたら返そうかなってなるけど」
「俺はクラスの女子にしか返さないって決めてる。本命に返したって意味ないだろ」
「俺は友達には返すよ。あとは覚えてないし」
「酷い!!女の子の敵だ!」
「純香の言う通りだけど、これだけ貰ってたらそうなるわね」
「そもそもなんでこんな習慣があるんだよ」
「外国では日本と逆で男から女に送ったり、恋人同士のイベントだったりするらしいわよ」
「それでいいじゃん。なんで日本はこんなことになったんだ」
頭を抱える次男とそれに共感する長男三男。
「そうだ、私達も3人に作ったんだけど」
「今年はガトーショコラです!夕飯の後に食べようねー!」
「因みに夕飯は皆大好きな和食よ」
正直甘いものはいらないが次女の作ったお菓子は欲しいし、長女のさり気ない気遣いに少し心が穏やかになる3人であった。
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