三男も人気者
第27話
ある日の学校。
窓際の席に座る佐々木家三男はぼーっと外を眺めていた。
「おーい。今日の日直誰だー?ノート運んでおいてくれー」
数学教師の担任が教壇から呼びかける。
日直も大変だな、なんて他人事に思う三男に一人の可愛らしい男子生徒が話しかけた。
「誠君。今日の日直、誠君だよ」
「え」
「え、じゃないよ。僕も手伝うから早く行こう」
「他の人だと思ってた。ありがとう、実樹」
そう言って三男は友人と教壇にある机の上のノートを運ぼうとした。
「せ、誠弥君。私も日直だから、運ぶよ」
もう一人の日直である女子クラスメートが声をかけた。
「あぁ、別にいいよ。実樹いるし」
「あ、えっと。ほら、実樹ちゃん、日直じゃないし…」
「気にしないで。僕、今暇だし」
「でも…」
「じゃあ、他の仕事やっといてよ。黒板消す、とか」
「……分かった。ごめんね」
学年一イケメンでクールな三男と一緒にノートを運べなくてショックを受ける彼女は、友達に励まされながらも黒板を消し始めた。
それに気づいていない三男と彼女に申し訳ない事をしたなと思う友人はノートを数学教師の元へ運ぶ。
「誠君は本当にモテるよね」
「そうか?」
「そうだよ。さっきだって…」
「さっき?」
「いや、なんでもない」
へへ、と優しい友人は彼女の事を思って笑って誤魔化した。
それに首を傾げるも興味のない事は詮索しない三男はそれ以上なにも訊かなかった。
「あ、実樹ちゃーん!やっと見つけた!って、え!誠弥君!?」
「え、実樹ちゃん、誠弥君と友達って言ってたけど本当なんだ!?」
「えー、実樹ちゃん羨ましー!」
廊下を歩いていれば三男の全く知らない女子生徒たちが友人に話しかけた。
「う、嘘なんてつかないよ!」
「えー、だって、誠弥君と実樹ちゃんって共通点なくない?」
彼女がそう言うのも無理はない。
三男は言わずもがな、友人は可愛いものが大好きな男の娘なのである。
正直言うと話しかけた女子生徒より可愛い可能性がある。
そんな友人は彼女達の言葉に少し戸惑う。
「そ、そう、だけど……」
「でも、実樹ちゃんと友達ってことは私達とも友達だよね!」
「確かに!」
「実樹ちゃんと友達でよかったー!」
「ちょ、ちょっと、みんな落ち着いて…!」
どう対処していいのか分からなくなっている友人を静かに見ていた三男は声をかける。
「実樹、時間ないから早く行こう」
「あ、」
「えーもう行っちゃうのー?」
「先生に頼まれてるから。実樹と話すなら後にして欲しい」
「誠弥君が言うなら仕方ないかぁ」
「実樹ちゃんまた後でね~!」
そう言って彼女達は自分のクラスへ戻る。
「ご、ごめんね」
「なんで実樹が謝るの」
「うるさかったでしょ?」
「まあ、ちょっと。でも、うるさいのには慣れてるから」
「あ、潤弥さんと純香さん?」
「そう。うちの兄弟に比べればまだマシだと思う」
それを聞いて少し安堵する。
「でも、僕なんかと友達だって知られちゃうと大変じゃない?」
「え?なんで?」
「さっきも言われた通り誠君と全くジャンル違うし、『こんな奴と友達?』って思う人もいるかもしれないし…誠君の印象悪くなっちゃうよ…」
「ジャンルって…俺は実樹といると楽だから全然気にしたことなかったけど」
「…!」
「それにこんな奴って思う人なんていないでしょ。実樹、性格いいし」
「せ、誠君…!」
「それに俺、印象が悪いとか正直どうでもいいかな」
そう言って三男はガラッと数学準備室の扉を開けた。
「失礼します。ノート持ってきました」
三男はノートを先生の机に置くと、
「実樹、何してんの。早く置いて戻ろう」
部屋の入り口で立ち止まっていた友人に三男は呼びかけた。
それに友人は、うん、と笑顔で頷いてノートを運び終えた。
「僕、潤弥さんと純香さんに会ってみたいなー。同じ学校なのになんで会えないんだろう」
「……さあ?」
「いろいろ話したいなあ」
「……機会があればね」
会わせると絶対に面倒くさいことになるから中学の頃からずっと会わせないようにしているという事を友人には秘密にしている三男であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます