次女の特技と兄弟の好きなもの
第26話
ある休日、佐々木家は甘い匂いで充満していた。
「うわ、めっちゃ甘い匂いしてるな」
「純ちゃんがお菓子作ってるんだよ」
「あ~なるほど」
出かけていた次男はその甘い匂いに驚くも、ソファーに座ってテレビを見ていた三男の言葉を訊いて納得し、隣に座った。
「今日は何作ってんだ?」
「マドレーヌって言ってた。清ちゃんにあげるんだって」
「あげるも何も、あの人、純香の作ったお菓子一番食べてんじゃん」
「清ちゃんは純ちゃんのお菓子好きだからね」
「お兄もなんやかんや食べてるよな」
「甘いものそんなに得意じゃないのにね」
「でも、悔しいけど、純香のお菓子は、美味い」
「悔しみながらも認めるんだね」
「認めざる終えねえ」
そう言いながら次男はテレビのチャンネルを変える。
「ただいま」
「ただいま。なんかいい匂いするね」
「二人ともおかえり。今、純ちゃんがお菓子作ってるよ」
「それは楽しみだな」
「ちょうど新しい紅茶買ってきたからそれと一緒に食べようかしら」
バイトから帰ってきた上双子が三男の言葉を訊いてどことなくわくわくし始める。
「あ、みんな帰ってきてる。おかえりー」
丁度その時、次女がキッチンから出来上がったマドレーヌを手にリビングへやってきた。
「わ、マドレーヌだ。清香、好きだよね」
「そうね。純香のマドレーヌが一番好きね」
「この前、お姉が欲しいって言ってたから作ったんだよ!」
「ありがとう。紅茶買ってきたから淹れるわ。あんたたちは何飲むの」
「俺、コーヒー」
「俺もコーヒー」
「俺もコーヒーで」
「でしょうね」
男三人の飲み物を訊くと長女はキッチンへ向かった。
「ちなみに空いた時間でこの前お隣さんから貰ったゆずでジャムも作りました」
「おぉ!あの大量のゆずをやっと処理したのか!」
「どうするか清香も困ってたから助かるよ」
「純香、やればできる子なのです」
褒められてえっへんと自慢げな次女である。
そして、紅茶とコーヒーを淹れ終えた長女が戻ってきて各々マドレーヌを手に取り、食べる。
「どうですか」
「今日も美味しいわ」
「折角ジャムあるんだし、紅茶に入れてみろよ」
「潤弥にしては珍しくいい事言うね!」
「ちなみに私は既に入れたわ」
「うん、入れてるなって思った。味は?」
「美味しいに決まってんでしょ」
次男に言われてジャムを紅茶に入れている次女と、長男に当たり前のように言って紅茶を飲む長女。
それを横にテレビを見ていた三男が言う。
「俺、これ食べてみたい」
それを聞いた四人はテレビに視線を向けた。
「え、マカロン?」
「クラスの女子が騒いでた」
「女ってこういうの本当好きだよな」
「甘いものが好きな男だっているじゃない」
「見た目もなんか可愛いし人気だよね」
未だにマドレーヌを食べながら兄弟たちは談義する。
「食べた事ないからどんな味するのか気になったんだよね」
「そうなんだ~。じゃあ、今度作ってあげるね~」
そして次女は三男にそう約束し、次女のお菓子が好きな4人は密かに楽しみにするのであった。
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