長女と長男の特別な日

第24話

今日は佐々木家にとって大切な日のうちの一つ。





「いいか。よく聞け。二人は多分きっと絶対一緒に帰ってくるはずだ。さっき連絡があった」


「分かってるよ。扉が開いた瞬間クラッカーを鳴らせばいいんでしょ」


「そうだけど、お前タイミングが大事なの分かってんのか?」


「…ごめん、潤君。俺ちょっとタイミング分かんない」


「扉が開いて、二人の姿が見えてから鳴らすんだ。分かったな?」


「分かった」


「開いたから鳴らせばいいって問題じゃねえからな。特に純香」


「分かってるよ」


「それより、暗くない?」


「暗さも演出の一つだからな!」




外はまだ少し明るいというのに遮光性の高いカーテンで閉め切られている佐々木家リビングはほぼ真っ暗である。


そんな中、ひそひそと三人は話している。家には三人しかいないというのに。




「鳴らし終わったら瞬時に俺が電気付けるからな、今暗くても何の問題もない」




次男が自信満々に言った直後、がちゃっと玄関から音がした。


三人の待ち人が帰ってきたみたいだ。



耳をすませば二人の話声が聞こえた。計画は順調である。



そして、がちゃり、リビングの扉が開かれた。





ぱーん!!!





「「お兄、お姉、ハッピーバースデー!!!」」





三人はタイミングよくクラッカーを鳴らし、二人を祝った。


次男が言ったとおりに電気を付ければ二人は少し驚いてから、目を合わせて笑い、ありがとうと声を揃えて言った。




「暗いから何してんのかと思ったわよ」


「今年も気合の入った飾りつけだなぁ」




各々言いながら二人はソファーに座る。




「あ、潤弥、クラッカーのテープとかちゃんと掃除しときなさいよ」


「え、なんで俺だけ」


「あんただけクラッカー多いじゃない」




そう言って次男は自身の手元を見ると、8つの空のクラッカーが握られていた。


10個入りを買ったはいいが次女も三男も一つずつしか使っていない為、残りの全てを次男が使ったのである。




「へーい」


「俺も後で手伝うよ」


「お兄は今日の主役なんだから何もしなくていいよ。座って待っててください」


「そうだよ!お兄はゆっくりしてて!今日は私がご飯作ったんだよ!」




次女はテーブルに料理を持って行きながら自信満々に言う。




「わ、美味しそうだな」


「でしょー!」


「唐揚げ美味しかったよ」


「なんで誠弥が知ってるのよ。もしかして、つまみ食いしたんでしょ!」


「……」


「一番に食べるのはお兄とお姉だって言ったのにー!」


「ごめん」


「はは、別に二番でも三番でも美味しさは同じだろ」


「そうよ。温かいうちに早く食べましょ。潤弥、早く掃除終わらせなさい。冷めちゃう」


「理不尽!!」




次男は嘆きながらも高速でクラッカーから放たれた紙吹雪や紙テープを回収し、なんとか4人の待つテーブルにつく。




「みんな揃ったね。では、いただきまーす!」


「「「「いただきまーす」」」」




次女の掛け声に揃えて4人は手を合わせて言い、ご飯を食べる。




「え、このカルパッチョ美味しいね」


「でしょ!前にお姉が作ってたやつをアレンジしてみたの」


「清ちゃん、雅君、お酒あるよ」


「お、貰おうかな」


「誰が買ってきたのよ。あんたたち買えないでしょ」


「そんなの先生に頼んだに決まってんだろ。何言ってんだよ」


「お前が何言ってんだよ」


「また、先生に迷惑かけて…やめてよね…」




次男の自信満々な主張に長男と長女は二人そろって頭を抱える。




「まあまあ、二人とも。今日は細かい事は考えないでさ、はい、プレゼント!」




次女は隣に置いてあった紙袋を長女に渡した。




「あ、お兄はこっちな」




それに便乗して次男も紙袋を長男に渡した。


渡されたプレゼントを二人はありがとうと受け取り即開ける。




「え、ティーセット?可愛い…」


「でしょ!お姉、ミントブルー好きだったよね!」


「よく覚えてたね」


「当たり前だよー。美味しい紅茶淹れてね」


「ティーパーティー開かないとね」


「楽しみ~!」


「俺のはキーケースだ。欲しかったんだよな」


「よかったー!誠弥に定期入れは買ってたって聞いたからそれにしたんだよ」


「そう言えば一緒に買いに行ったね」


「うん。鍵いっぱいあるのにキーケースは持ってないなって思って潤君に提案してみた」


「はは、確かにいっぱいあるな」


「何の鍵がついてるの?」




三男の素朴な疑問に長男は苦笑いしながら答えた。




「家の鍵は勿論だけど、大学の研究室とかロッカーとかロッカーとかロッカーとか…」


「ロッカーどんだけあんだよ!ゲシュタルト崩壊起こすわ!」


「いろいろあるんだよ。でもほんと助かる。ありがとな」




長男はそう言って早速鍵を付け始める。


長女は未だ次女と一緒にティーカップを眺めている。楽しそうである。




「あ!そうだ!ケーキもあるんだよ!」




次女は思い出したように言いケーキを取りに行き、ろうそくを刺して持ってきた。




「わ、今年はブドウのタルト?」


「贅沢だなー」




上二人の感想に次女は満足げに笑っている。




「改めて、誕生日おめでとう、お姉お兄!」


「おめでとう!!!」


「おめでとー」




二人は改めて弟妹から祝われ、綺麗な黄緑と紫のぶどうのタルトに刺されたろうそくに灯る火を、嬉しそうに消した。




「「ありがとう」」




自然と揃って放たれた声に弟妹は照れたように笑った。









Happy Birthday Sept.15

to Kiyoka,Masaya!!

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