佐々木家の夏休み最終日

第23話

高校生にとって今日は夏休み最終日。


佐々木家の高校生は家に引きこもっているようである。




「なんで、お前は出来ないのに残すんだよ」


「ちゃんとコツコツやってたもん。ちょっと難しい問題を後回しにしてただけだもん」


「後回しにしてる問題が多すぎるんだよ。だから馬鹿なんだよ。あ、馬鹿だから後回しにしてんのか」


「だって、真桜にも奏太朗にも訊いても自分の宿題もあるから後でねって断られたんだもん。迷惑かけたくないじゃん。潤弥に訊いても自分でやれって言うじゃん」


「わ、分かった。見捨てた俺も悪かった、ごめんって。泣くなよ」




明日は学校だというのに未だ宿題が残っている次女を、半分自分の所為で泣かせてしまった次男は珍しくオロオロと狼狽え、宥める。




「潤君、今から教えてあげればいいじゃん」


「そうよ、教えてあげなさいよ」


「俺も手伝うし、潤弥、筆記用具持ってきな」




次男は次女以外の兄弟に言われ渋々次女に教えることにする。




「写せば楽なんだけど、文系と理系は宿題違うもんね」




長女の言う通り次男は理系クラス、次女は文系クラス。クラスが違えば宿題も違うのである。




「残ってるのは数学と英語だけ?」


「うん」


「英語は清香に教えてもらいなよ」


「え、なんで」


「可愛い妹が泣きながら励んでるのにお前は眺めるだけなんだ?」


「……数学が終わったらね」


「お姉ありがとう~!」


「いいから早く終わらせなさい」




次女は長女に言われペンを持つ。次男から罵られながらも長男がフォローをし次女は何とか問題を進める。



数時間後、休憩を挟みながらも何とか数学が終わり英語に取り掛かる。



長女が思っている以上に英語が出来ない次女に分かり易く教えるのはなかなか難しく、全て終わったころには鳴いていた蝉の声は鈴虫の声に変わり、真っ青だった空は真っ黒に変わっていた。




「終わったー!!!」




そして次女の歓喜の声が家中に響いた。




「疲れた。ちょっと今日はご飯作る気分じゃないから食べに行きましょ」


「焼き肉連れて行ってくれんの!?」


「そんな訳ないでしょ…って言いたいけど雅弥も潤弥も頑張ってくれたしいいんじゃない?誠弥は何もしてないから留守番ね」


「え!?」




長女のぐったりした声で放たれた言葉に三男は一気に青ざめる。




「お、俺、皆にお茶とか注いできたよ?」


「それだけだろ?」


「洗濯物だって取り込んだし…雅君の手伝いだけど…」


「手伝いかぁ」


「だ、だって俺、二年の内容分かんないし」


「「「「……」」」」


「家で一人ご飯はいじめじゃん…」




少し泣きそうになっている三男に四人は思わず笑ってしまった。




「嘘よ。誠弥も一緒に行くに決まってるでしょ?」


「誠弥はいてくれるだけで癒しだからね!」


「まさか泣きそうになるとは思ってなかったよ。ごめんな」


「誠弥の好きなものいくらでも食べていいから許してくれ」




四人は各々三男を慰める。




「絶対許さない」


「ごめんって。ほら、行くよ」


「……」


「はは、行くのは行くんだな」




三男は長男に促されて黙って腰を上げると次男が笑った。




「何食べようかな~」


「食べ放題にしましょ。美味しい所教えてもらったのよね」


「やったー!誠弥、いっぱい食べようねー!」




長女と次女も笑って三男を引っ張り車に乗り込んだ。



その後、美味しい焼肉屋さんで美男美女の5人組が大量の肉を食べていたと少し話題になったのであった。

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