佐々木家への贈り物

第15話

ピンポーン




休日の朝から軽快なインターホンの音が佐々木家に響き渡る。




「おはようございます、宅配でーす」


「おはようございます。ありがとうございます」


「ここにハンコお願いします」




朝から爽やかな宅配のお兄さんの笑顔に負けんばかりに佐々木家長男も爽やかな笑顔を返し、ハンコを押して大きな大きな荷物を受け取った。




「やたら大きな箱ね。朝から何が送られてきたの?」




リビングに荷物を持って行けば、長女がソファーでコーヒーを飲みながら訊いた。




「さあ?なんだろう」


「誰から?」


「父さんと母さんだよ」


「……絶対ろくでもない物でしょ」


「はは、そう言うなよ」




長男は笑いながら箱を開ける。




「…うわ、これ全部お菓子?」


「また?私達は幼稚園児の子供か」


「あの二人からしたらまだそれくらいの子供感覚なんじゃない?」




苦笑いな長男の言葉に長女は呆れた笑みを浮かべた。




「はよ」


「おはよ~」


「潤弥、純香。おはよう」


「朝ごはんそこに置いてるから食べちゃって」




起床した次男と次女が揃ってリビングに入ってき、長女の言葉を訊いてダイニングテーブルについて一緒に朝食をとる。


すると次男はちらちらと長男の手元にある箱を見る。




「…さっきから気になってたんだけど、お兄、そのお菓子達何?」


「あぁ、父さんと母さんから送られてきたんだ。手紙に写真立ありがとうって書いてたよ」


「写真立のお礼ね」


「デザインも素敵でとても嬉しい、だって。良かったね、潤弥」


「あったりまえだろ?俺が選んだんだから気に入らないわけがない」


「あんたのその自信はどこから出てくるわけ?」


「どこからじゃなくて元からあるんだよ。お姉も分かってねえな」


「……」


「清香、落ち着いて」




次男のお馬鹿発現にいろんな意味で震えている長女を長男は落ち着かせる。




「それにしても、5人でもそんな大量のお菓子食べきれないよ」


「確かに、これは多いな」


「今までで一番多い気がするのは俺だけじゃなかったのか」


「こんなに大量のお菓子をよく国際便で送ろうと思ったわよね」


「検疫の人も絶対怪しんだだろうね」




4人が呆れるのも無理はない。送られてきた箱の大きさは小学一年生の子供が入れるほどの、お菓子を送るには異常な大きさなのである。




「今回はどんなのが入ってるのー?」




朝ごはんを食べ終わった次女は箱を覗き込んだ。




「いろいろ入ってるよ。前に純香が美味しいって言ってたクッキーとかもあるよ」




お菓子を箱から出して整理している長男がクッキーを見せて言った。




「わ、本当だ。嬉しー!」


「お!このグミ!俺がすげえ欲しかったやつ!」


「は?これ欲しかったわけ?不味そう…」


「これは…何味なんだ?」


「コーラだろ?」


「え、コーラなの?黒すぎない?私、こんな真っ黒なコーラ知らないわよ」


「だって、ほら。ここにコーラって書いてある」


「…本当ね」


「これはなんて書いてあるの?」


「…ホワイトチョコだな。純香、これくらいは読めるようになろうな」




4人は箱からどんどん出していきながら両親から送られてきたお菓子を物色している。




「おはよ。……なにしてるの」




そんな中、佐々木家で一番の寝坊助な三男がリビングにやって来た。




「誠弥おはよ!お父さんとお母さんから送られてきたんだよ!」


「写真立のお礼だってさ」


「へえ、多いね」


「はは、我が子が可愛いんだよ。手紙に散々書いてたよ」


「私、まだ手紙読んでない。雅弥」


「はいはい。どうぞ」


「ありがと」




長女が長男から手紙を受け取り静かに黙読し、三男はお菓子物色に加わった。




「誠弥、何か気になるものある?」


「いや、特には。ただ…」


「「ただ?」」


「外国のお菓子って変なの多いなって」


「あー、確かに」


「変というか色が奇抜だよな」


「はは。外国って言ってもフランスとかは美味しそうなの多いよ」


「流石フランス。俺も行きてえな」


「父さんたちに言ってみれば?」


「純香、お前はヨーロッパに行くのがどれだけ大変か知らないのか?」


「え?どういうこと?」


「飛行機で12時間かかるんだぞ?俺は耐えられねえ」


「え、そんなにかかるの…お兄、フランス行ってたよね?」


「あぁ、うん。行ってたね。でも、父さんたちも毎回10時間はかけて帰ってきてると思うよ」


「アメリカもそんなにかかるの…」


「純香、世界は広いんだよ」




ぽんぽん、と次女の肩を叩きながら次男はしみじみ言った。




「俺、純ちゃんの頭の悪さを侮ってたよ」


「俺もそこまで知らなかったとは思わなかった」




下双子を見ていた長男と三男も違う意味でしみじみと会話していた。




(あの子、九九出来るのかしら)




その傍ら、手紙を読みんでいた長女はひっそりと心配になるのであった。

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