11-20

佐々木家の七夕

第11話

今日は七夕。




「はい!皆!短冊だよ!」




夕飯後、次女が兄弟に短冊を配っている。


行事を大事にする佐々木家では毎年笹を取ってきて短冊に願い事を書いて吊るすのである。




「今年は何を書こうかなあ」




次女がテーブルで悩んでいれば三男が言う。




「純ちゃんって毎年すごく悩むけど結局『頭がよくなりますように』って書いてるよね」


「だって本当の事なんだもん」


「今年はもっと夢のあることを書いたら?」


「誠弥、純香にとっては頭がよくなることは夢の様な事なんだぞ?」


「そう言う潤君も毎年『平和に過ごせますように』って書いてるよね」


「平和って大切だぞ」


「その平和を崩すような悪戯をしてるやつは誰よ。この前も私の部屋のドアノブにスライムつけてたでしょ!真夜中だったからびっくりしたよ!」


「え、潤君そんな質の悪いことしたの?」


「だっていい感じのスライムが出来たんだもん」


「だもんとかキモイ…」


「流石にそれはないよ…」




高校生組がいつもの様にテーブルで話している。




「俺はなんて書こうかな」




それに長男が加わる。




「お兄は毎年変わるよね。確か去年は『単位取れますように』だっけ?」


「去年は厳しい先生の授業があったからね。切実な願いだよ」


「雅君ももっと夢のあることを願うべきだよ」


「そう言う誠弥は今年はなんて書いてるんだ?」


「まだ決めてない」


「去年は『世界一周したい』だったっけ?」


「うん。まあ、叶わなかったけど。七夕ってそういうもんでしょ?」


「そんなの個人の自由よ」




食器を洗い終えた長女は長男の隣に座りながら三男に言う。




「そう言われたらそうだね」


「そうよ。だから何書いてもいいのよ。それこそ『宇宙に行きたい』とかでもね」


「じゃ、俺それ書こうかなー」


「潤弥なら宇宙に行くためのロケット創り出しそう」


「確かに。流石にその時は全力で止めるよ」




そして願い事が決まったのかテーブルを五人で囲って各々短冊に書く。




「よし!飾りつけは私がやってるから好きな所に吊ってね~」




次女は言いながら庭に繋がる窓を開けて外に出た。




「俺一番上に吊ろ」




次女が外に出た直ぐ後に次男も外に出て笹の一番上に吊るしている。




「え、私も上が良いんだけど。潤弥、吊って!」


「仕方ねえな。お前はチビだからな」


「余計な一言だよ!言っとくけど平均身長だから!潤弥が高いだけ!」


「はっ。何言ってんだか」


「こらこら。喧嘩しない」


「お兄も背が高いから敵だね」


「そんな事言うなよ」


「とか言ってるけど、本当は私達の事見下してるんでしょ」


「え、清香まで?」


「お姉って意外に背低いよな」


「あ?潤弥、喧嘩売ってんの?」


「ウッテマセン」


「俺も上の方がいい」


「いや、誠弥なら吊れるでしょ」


「私、今から願い事『背が高くなりますように』に変えようかな」


「純香、もう諦めなさい。背は高くないけど寛大な心を持つようにしましょう」


「そうだね…」




女子二人が同盟を組んでいる中、男子三人はそれを縁側に座って眺める。




「なんか俺達、悪者みたいになってるな」


「俺、今年も『平和に過ごせますように』にしといてよかった。お姉に殺られるかと思った…」


「え、潤君、結局また一緒なの?」


「もう今更変えられねえ」


「はは。まあ潤弥はそれでいいと思うよ」




長男が言った直ぐ後、




「わ!見て見て!めっちゃ星綺麗!」




次女が空を見上げながら言った。それに続いて長女も見上げた。




「わ、本当。綺麗ね」


「お兄お兄!織姫ってどれ!?」


「え?なに?織姫?」


「そうじゃん。雅弥、本職じゃん」


「本職って何だよ。というか純香、織姫は夏の大三角の一部なんだよ。お前でも直ぐに見つけられるよ」


「純香、お兄にそんなこと訊くなよ…勿体ねえ」


「純ちゃん、それは俺でも分かるよ」




ここでも次女の頭の悪さが引き立つ。




「もう!また馬鹿にして!もういいよ!天の川綺麗だし!」


「ふふ。そうね。中々見れるものじゃないわね」


「織姫と彦星は会えてるかな~」


「はは、純香が心配しなくても会えてるよ」




長男に言われて次女はほっとする。


そしてその後兄弟は花火をした。



勿論次男がやらかしたのは言うまでもないだろう。

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