次男は隠れ心配性

第10話

休み時間。




「潤弥~、現国の教科書貸して~」




教室で友人達と話をしている次男の元へ次女がやって来た。


それに目を向けて次男は席を立つ、




「はあ?なんで持ってきてないんだよ。置いてないのかよ」


「置いてたんだけどね、なんでか分かんないけど消えた」


「いや、訳分からん」


「不思議だよね」


「そうだな。不思議だな。ちゃんと管理してないお前が悪いんだけどな」




そう言いながら次男は次女に現国の教科書を渡す。




「潤弥、ありがとー!」


「はいはい」


「文句言いながらも貸してくれる潤弥は優しいよね!」


「知らん」


「またまた照れちゃって!」


「うるさい。早よ行け」




次男は至極鬱陶しそうな顔をしてしっしと手で次女を追い払う。




「私の扱いはどうにかして欲しいけどね」


「どんな扱いをして欲しいんだよ」


「優しくして欲しい!でも、よく考えたら潤弥に優しくされるとか気持ち悪いからいいや」


「どっちだよ」


「まあいいや。じゃあ借りてくね!」




そう言って手を振って去って行く次女を次男は見送って席に戻った。





「お前と純香ちゃん全く似てないよな」




席に戻ればさっきまで話していた友人が次男に言った。




「そうか?」


「うん。顔が整ってるとこというかパーツって言うの?それは似てるけど、純香ちゃん頭悪いじゃん」


「あー、確かにあいつ馬鹿だな」


「学年最下位って聞いたことあるけどマジ?」


「それは知らないけど、そんなこと誰から聞いたんだよ」


「噂?」


「ふーん」


「あと、純香ちゃんっていつも男引き連れてるし」


「…ちゃんと女友達もいるぞ」




次男は友達の言葉を聞いて思わず次女のフォローをする。


それを聞いた友達は少し驚いてから面白そうに笑った。




「はは、なんやかんや潤弥って純香ちゃんの事大事にしてるよな」


「そんな事ないだろ」


「まさかの自覚無し?」


「何言ってんだ、お前」


「まあ、あんなに可愛ければ誰もほっとかないだろうな。お兄ちゃん大変だな」


「………は?可愛いか?」


「可愛いだろ」


「そうなの?」


「誰に訊いても可愛いって言われるくらいには可愛い」




断言する彼の言葉に次男は首を傾げる。




「俺、純香ちゃんなら付き合ってもいいな~。今度連絡先訊いてみようかな。教えてくれると思う?」




彼の言葉に次男は一瞬で不機嫌になる。


それもそうだろう。彼は女遊びが激しいのだから。




「さあ、知らねえ」




次男が馬鹿にしたように笑って返せば、




「はは、そう怒んなって」




と彼は軽く返した。




「言っとくけど、お前に純香は無理だよ」


「何?シスコン?」


「違うわ、ボケ。あいつを扱うのは大変だって言ってんだよ」


「どういう事だよ」


「純香は変人だからな」


「それ、潤弥が言えないと思うぞ」




笑って言う彼とは対照的にやはり次男は不機嫌だ。




「まあ、確かに潤弥の妹だと難しそうだな」




彼がそう言ったと同時に授業開始のチャイムが鳴った。







「純香」




次男は、いつも通りソファで三男の隣に座っている次女を呼ぶ。




「なにー?」


「お前、男と遊ぶのはいいけど変な男にだけは引っかかるなよ」


「えぇ?何それ?ウケる~」


「うっせえ、カス」


「カスとは何よカスとは!言葉遣い悪いとモテないよ!」


「……」


「ちょっと無視?酷い!」




次女の嘆きを無視して次男は自室に戻った。




「純ちゃん。潤君は多分、心配してるんだよ」


「心配?」


「純ちゃん、危なっかしいとこあるから」


「潤弥に限ってそれはないでしょー」


「……まあ、取りあえず、純ちゃん。潤君の言う通り変な奴には引っかからないでね」


「誠弥までそんな事言って~」




そう笑う次女に三男は溜息をつくのであった。

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