次男の闇クッキング
第8話
「皆の者、聴き給え」
ソファーに隣り合って座っている次女と三男の前に仁王立ちをしてそう言い放つ次男。
それをダイニングテーブルに座ってハラハラと見守っている長男とただ傍観している長女。
「まず、これを見ていただきたい」
そう言って次男は駄菓子屋でもスーパーのお菓子売り場でもよく見る、誰もが子どもの頃に一度ならず二度は食べた事があるであろう『チ〇ルチョコ』をテーブルの上にどさっと置いた。
そう、どさっと。
「何この量」
「驚いただろ?俺も初めて100個買ったよ。店員さんに在庫全部出してもらったよ」
「頭おかしんじゃないの?」
「俺は至って正常だ!」
白い目を向けている次女に胸を張って言い切る次男はどう考えても可笑しいだろう。
「それで、何するの?」
「誠弥。よく聞いてくれた。これを全部溶かしてこの小さいバケツに流しいれます」
「「……」」
「しかし、ただ溶かして固めるだけじゃ面白くないので生クリームを入れて巨大生チョコチロルを作ろうと思います!」
その言葉を聞いた瞬間、そこにいた4人はきっと同じことを思っただろう。
板チョコでも出来るだろ、と。
「よし、じゃあ早速包装紙外していくぞ。手伝え」
「いやいやいや。潤弥、あんた馬鹿でしょ。何考えてんの?」
「そうだよ、純ちゃんの言う通り潤君何考えてるの」
「チロルはチロルで食べるのが一番でしょ!?」
「えっと、純ちゃんもなんかずれてるね?」
「いいからさっさとやるぞ!」
そう作業を開始した高校生組。
「なあ、生クリームってどれくらい入れればいいんだ?」
「1000mlとか?」
「それは多いんじゃない?というかこれ生クリーム入りのチョコだからいらないんじゃない?」
「生チョコってもっとやわらけえじゃん」
「そうだけど、いる?」
「もうどばっと入れるか!」
次男は考える事を諦め、そう言って買ってきてあった200mlの生クリーム5本全て入れてしまった。
「ちょ、潤弥!これは入れ過ぎ!!」
「冷やせば大丈夫だ!」
「いや、冷やしても駄目でしょ」
「あ。ねえねえ、このクッキー入れてみない?」
「それならフレークの方が俺的には好きなんだけど」
わいわいキッチンで騒ぎながら作る弟たちを見ている上双子はと言うと、
「大丈夫か?清香見てきてよ」
「なんで私なのよ」
「キッチンは清香のテリトリーだろ?」
「ご飯担当は私だけどテリトリーなんかじゃないわよ。それに純香はお菓子作り好きだから大丈夫よ」
「まあ、そうか……あぁ、あんなとこにガラスのボール置いて危ないなぁ」
「雅弥、落ち着きなよ。火使ってないんだから爆発は起きないわよ」
「起きたら困るどころの騒ぎじゃないけどな」
余裕そうな長女に対してはらはらとしている長男。実に対極的である。
「よし!冷やして終わり!」
「絶対固まらないよ…私の経験上あれはないわ…」
「何言ってんだよ。試さないと分かんねえだろ?」
「分かるよ…あれは絶対駄目なやつ…」
「俺、チロルをあそこまで駄目にする人初めて見た」
「チロルを駄目にする人間なんてこの世にいたんだね。取りあえず、3時間後固まってなかったらチロルに謝れ」
キッチンから言い合いながら出てきた3人。
その内、1人を除いてはぐったりとしている。
そんな3人を笑って見ていた上2人は密かに3時間後を楽しみにしていた。
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