佐々木家の三男

第6話

「誠弥。これ、片づけといて」




長女はソファーに座っていた三男に雑誌を渡す。




「え、すぐそこじゃん。清ちゃんが片づけた方が早いよ」


「いや、誠弥の方が近いからね?本棚あんたの隣だからね?」


「……」


「……」


「……」


「……」


「……」


「…分かったわよ。自分で片づけるわ」




短い冷戦の後、珍しく長女は折れた。




「清ちゃん、自分で言ってるもんね。自分で片づけろって」


「……本当、誠弥はいつも痛いところついてくるわよね。言い返せないわ」





長女は笑いながら本棚に雑誌を片づける。




「誠弥~、ちょっと来て~」




すると、どこからか長男の声が聞こえてきた。




「ほら、雅弥からの呼び出しよ。早く行ってきなさい」


「うーん。俺、何もしてないんだけどな…」


「どうせ手伝ってとかそんなんじゃない?」


「…めんどくさいなあ」




呟きながら長男の元へ向かった三男を見ていた長女はまた笑った。




「雅君どうしたの」


「大したことじゃないんだけど、潤弥のあれ、手伝ってくれない?なんか危なそうだから」




そう指さされて見た先には、庭で何かを作っている次男がいた。




「雅君は…」


「俺は洗濯物取り込んで畳まないといけないんだ」


「……」


「面倒くさいのは分かるけど頼むよ」


「…雅君が言うなら」


「ありがとう」




爽やかに笑って言う長男に三男は何も言えず、渋々庭に向かう。




「潤君何してるの」




鋸や金槌などを広げて何枚もの板を組み合わせている次男に問う。




「棚が埋まってきたから新しいの作ろうと思ってな」


「なんで手作りキット的なの買ってこなかったの」


「だってあれ、大きさ決められてるじゃん。俺の求めてるサイズがないんだよ」


「…そうですか」


「あ、そこ抑えといて」




次男に言われ三男は呆れながらも板を抑える。




「潤弥!私のプリン食べたでしょ!」




着々と棚を作っていれば、次女が怒鳴りながら庭へやってきた。




「はあ?プリン?あれお前のだったの?」


「私のだよ!折角誠弥と買いに行ったのに、冷蔵庫にないんだけど!」


「知らねえよ。名前書いとけよ」


「本当潤弥は酷いよね!なんで自分のもの以外のものを食べちゃうの!誠弥も何か言ってやってよ!」


「…潤君も黙って食べちゃ駄目だよ」


「そうは言うけどずっと冷蔵庫にあったら誰も食べないのかなって思って食べちゃうだろ?」


「まあ、すぐ食べなかった純ちゃんも悪いかもしれない…」


「えぇ!?」


「だってあれ買ったの一昨日でしょ?」


「3日も放置されて消費期限が迫ってたら俺じゃなくても誰かが食べるわ」


「何も言い返せないのが悔しい!!」




悔しがる次女を横目に次男はドリルでどんどん釘を打っていく。


そんな次女が可哀想になってきた三男は声をかける。




「純ちゃん。また買いに行こう」




その言葉を聞いた次女は、ぱあっと表情が明るくなった。




「やっぱり誠弥大好き!!」


「うん。ありがと」




そう三男は抱き着く次女を呆れながら笑った。

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