第20話
「あ!先生に言わないでよ!」
「言う訳ないだろ」
「何なのよー!私だけ焦ってるみたいじゃん!」
隣で地団駄を踏む旭奈は本当に可愛い。
そのまま家に来ないかな、なんて馬鹿なことを考えていると旭奈は俺に訊く。
「そんな祐人はどうなのよ!」
さあ、答えなさい!と、彼女は自分よりも頭一つ分高い位置にある俺の顔を下から睨みつける。
それさえも可愛くて、抱きしめたくなる衝動をなんとか抑える。そして、
「秘密」
一言答えれば、余裕そうなのが腹立つ!とまた怒りだす。
嫉妬心を隠すのに必死で余裕などどこにもないということに、目の前で怒っている鈍感な彼女はいつ気づくのだろうか。
早く気づいて欲しいものだが、それは俺が言わないと叶わなさそうだ。
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