第19話

俺の言葉を聞いて、元から大きい目を更に大きくして俺を見る。


そして、次第に色の白い顔は赤く染まっていくのがよく分かった。


それは夕陽に染められた赤より更に赤く染まる。耳まで真っ赤だ。




「な、何言ってんの!そんなわけないでしょ!」


「そっちこそ何言ってんの。隠し切れてないから」


「もう、祐人ってデリカシー無さ過ぎ!」




そう言って頬を膨らませて怒る旭奈は俺をどうしたいのだろうか。


そんなの可愛いだけだ。



それ以上見ていられなくて旭奈から静かに目線を逸らす。


すると、小さく呟かれた。




「恋愛対象外なのに好きだなんて重すぎるだけだよ」




きっと旭奈は先生に訊いたのだろう。生徒は恋愛対象に入るのかどうかを。


先生は確か恋人はいなかったはずだが、そうか。生徒は恋愛対象外なのか。



それに何故かほっと安心している自分がいて醜いなと思う。

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