第18話

君の事になるといつも足掻いて、踠いて、溺れそうなくらい必死になる俺は君にどう見えているのだろう


必死で手繰り寄せようとする俺はきっと滑稽に見えているに違いない。


あぁ、本当に俺は格好悪いなぁ。




「……祐人にばかり頼っていられないよ」




思っていると隣でぽつり、一言漏らす。




「言うほど俺に頼ってないだろ」


「頼ってるよー。先生も、そうだなぁ」


「………」




また、先生。



好きだという感情を隠したいのかそんなことどうでもいいのか知らないが、隠し切れていない。



否、無意識なのかもしれない。


俺と同じように、息をするように想っているのかもしれない。体の一部になってしまっているのかもしれない。



あぁ、汗が鬱陶しい。


それ以上に憶測ばかりな自分が、腹立たしい。




「先生のこと、好きなの?」




だから、はっきりさせたくて訊いてしまった。

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