第3話
そんな彼女が可愛くて、俺の頬はつい緩む。
それを誰にも気づかれないように俺は何冊目か分からないキャンパスノートへまた顔を向ける。
その距離感が俺にとってはとても大切で心地よくて、もどかしかった。
がらっ、と二人だけの空間だった美術室のドアが開いた。
「先生!遅いよー!」
入ってきた人を見るなり、旭奈はそちらへ向かって行った。
「ごめんね。突然会議が入っちゃって」
眉をハの字にさせて申し訳なさそうに言う彼はこの学校の美術の先生であり、美術部の顧問だ。
そして、旭奈の好きな人でもある。
本人からそのことを直接聞いたわけではないが、三年間も見てきているのだ。
好きな人の好きな人なんて、分からない訳がない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます