3#産まれない卵

 「いったり何してるの?!あのカッコウ?」


 「カッコウなのに珍しいねぇ!!巣の上で、卵を温めているわよ!!」


 「カッコウに私の巣に托卵されて、気づいてたら私の雛が全部カッコウだったなんて事あってからもう・・・」


 「あら。お可哀想に。私の巣も毎年同じ目に遭ってるわ。」


 「あらら・・・なんてこと。」


 「カッコウには困りものだわ。何で、自分で産んだ卵を他鳥に押しつけるんだろ。

 図々しいたらありゃしないわ。」


 「しかし、あのカッコウ。自分の卵を温めているみたいだわ。

 変わり者も居るもんですねぇーー。」


 小鳥の親鳥達は、口々に巣の中でじっと居座るカッコウを見ながらヒソヒソ話をしていた。


 

 ・・・私には聞こえてるわよ・・・


 ・・・今に見てらっしゃい・・・!!


 ・・・カッコウには、カッコウの意地があるんだわよ・・・!!


 ・・・カッコウでも卵を温めて、雛を孵して、『雛まつり』に参加するんだもん・・・!!


 ・・・しっかし、中々孵らないわね・・・この卵・・・!!


 カッコウのカクコは焦った。


 もう、かれこれ何日も飲まず食わずに巣の中にたまたまあったこの大きな卵の上に居座って、そうとう疲れが出てきた。


 疲れが溜まれば溜まる程焦りは募り、遂に取り乱した。


 「カッコウ!!カッコウ!!もうーーー!!早く産まれてよぉぉぉーーーーー!!」



 「ねぇ!!見てみて!!カッコウが何とか無理やり座って温めているあの卵・・・

 あれ・・・卵じゃないわ?!」


 「あっ!!これ・・・卵じゃない!!」


 木の枝に隠れて見物していた小鳥達は、この事実を発見してどよめいた。


 「この卵みたいなの・・・それは・・・」

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