第3話
1型は人間に忠実に動き、地上にいる人々へ物資を提供しにいく大量生産型アンドロイド。顔はみな同じで、全員が男性として作られている。感情はあまりない。
2型は爆発やその他病気で亡くした娘や息子をせめてアンドロイドとして蘇らせたいという、個人の希望によって作られたダミー。爆発前は病気や事故で亡くした人を蘇らせるために作られていた。
3型は人間と同等かそれ以上の知性と感性を持ち、全てを自分で考え行動できるエキスパート。地下へいる人間が地上へ出られなくなった代わりに、地上で爆発後の調査や医療班として活動しており、男性も女性もいる。
4型は3型を派生させたもの。医療や調査ではなく、主に友好国、同盟国から物資の輸出入や交渉事を得意とするように作られた、いわゆる海外派遣型アンドロイドだ。だから4型の姿は、普段の生活の場ではあまり見ない。
爆発前から人間と似た姿のアンドロイドは存在していた。けれど爆発後は全て製造を中止し、政府はこの4種類に絞った。この4種類だけでも、全国にどれだけいるのか把握できないほど、人間は現在アンドロイドと共存している。
これらのアンドロイド全ては、父が設計、発案したものだった。
父は寡黙でよくコーヒーを飲んでおり、時々私を見ると微笑む。その表情は、奏の記憶にあるものと違っていた。記憶にある父は、「悲しさ」の含まれないはっきりとした笑顔を奏に向けていた。
つまり父は、奏を失いカナデというダミーを作っても、本物の娘を失った悲しみのようなものを感じているのだろうと推測できた。
けれど私は父のその微笑みに戸惑う。なるべく奏と同じ仕草で振る舞わなければならないためだ。父がこうした表情をした時、奏はどのように応じるのかプログラムされていない。
だから奏の行動経験や思考回路から全てを組み立て推測していかなければならなかった。
けれど、奏と全く同じように行動するには先程父が言ったとおり、まだ時々うまくいかない部分があった。
「カナデ。早速頼みがある」
父は唐突に言った。
「頼みとはなんですか」
「地上の様子を見に行ってほしい」
そう言って通行証を差し出す。地上へ行くには必要なものだった。
「地上の様子?」
「カナデがその目で見てきたことを、私に伝えてほしい」
「了解です」
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