第36話

「美花穂ちゃん、ありがとう」

美花穂が、顔を上げてさゆを見つめる。

「私と、璃桜ちゃんと一緒に住んでくれて、ありがとう」

言いながらさゆの頬を涙が伝い落ちた。

「何、言ってるのよ」

穏やかに笑った美花穂自身も涙が出そうになる。

さゆと璃桜がいてくれなかったら。

ハクが消えてしまうかもしれない孤独感と龍の子供を一人で育てる、という不安に苛まれていたに違いない。

でも、これから先何があっても変わらない友人がいてくれると思うから。

きっとなんとかなる、と楽観的に考えられるようになった。

それは美花穂を精神的にリラックスさせ、子供が育つ喜びに浸らせてくれていた。おかげでつわりも軽くなり、肉体的な負担も取り除かれたのだ。

「さゆちゃんと璃桜ちゃんと、リトがいてくれて。私も幸せだよ」

美花穂の言葉に、さゆはうなずいてにこにこと笑った。

「ねぇ、美花穂ちゃん、私たち、秋になっても一緒に暮らそうよ。凌ちゃんにお願いしよう」

「そうしたいけど・・・・・・。凌兄ちゃんはダメだって言うわよ、きっと。さゆちゃんと璃桜ちゃんと水入らずで暮らしたいだろうし」

「え。じ、じゃあ、隣同士のアパートに住もうよ!それなら大丈夫!私、美花穂ちゃんと、赤ちゃんと、ハクさんと、みんなで一緒にいたい」

ずっと。一緒に・・・・・・。

美花穂は涙をにじませ、「ありがとう」と小さく呟いた。

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