第36話
「美花穂ちゃん、ありがとう」
美花穂が、顔を上げてさゆを見つめる。
「私と、璃桜ちゃんと一緒に住んでくれて、ありがとう」
言いながらさゆの頬を涙が伝い落ちた。
「何、言ってるのよ」
穏やかに笑った美花穂自身も涙が出そうになる。
さゆと璃桜がいてくれなかったら。
ハクが消えてしまうかもしれない孤独感と龍の子供を一人で育てる、という不安に苛まれていたに違いない。
でも、これから先何があっても変わらない友人がいてくれると思うから。
きっとなんとかなる、と楽観的に考えられるようになった。
それは美花穂を精神的にリラックスさせ、子供が育つ喜びに浸らせてくれていた。おかげでつわりも軽くなり、肉体的な負担も取り除かれたのだ。
「さゆちゃんと璃桜ちゃんと、リトがいてくれて。私も幸せだよ」
美花穂の言葉に、さゆはうなずいてにこにこと笑った。
「ねぇ、美花穂ちゃん、私たち、秋になっても一緒に暮らそうよ。凌ちゃんにお願いしよう」
「そうしたいけど・・・・・・。凌兄ちゃんはダメだって言うわよ、きっと。さゆちゃんと璃桜ちゃんと水入らずで暮らしたいだろうし」
「え。じ、じゃあ、隣同士のアパートに住もうよ!それなら大丈夫!私、美花穂ちゃんと、赤ちゃんと、ハクさんと、みんなで一緒にいたい」
ずっと。一緒に・・・・・・。
美花穂は涙をにじませ、「ありがとう」と小さく呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます