第二十章 指輪

第33話

二月十三日。

古民家に三人の笑い声が響き渡る。

蔵から出してきたひな人形を飾ろうとしたら、思いがけずとてもたくさんのかわいい小道具が出てきたのだ。

さすが、由緒正しいひな人形だ。

「すごい、こんなにたくさん道具があるんだ~」

美花穂の声にさゆがうれしそうにうなずく。

「ほんとだね。ね、璃桜ちゃん」

さゆと美花穂は声を出せない璃桜にも、普通に話しかける。

三人で一緒に住むうちに、璃桜のわずかな表情を読み取ることも可能になり、ただ、おとなしい女の子、そうとしか思えなくなった。

美花穂が長女でさゆが次女、璃桜が末っ子のような感じがするのだ。

美しい十二単をまとったおひな様はつやつやした黒髪と小さい鼻にちょこんとした紅色の口がとてもかわいい。お内裏様も、濃紺の平安貴族の衣装を身にまとい、すっきりと通った目鼻立ち、きりりとした口元がかっこ良かった。

五人囃子に三人官女、右大臣に左大臣。牛車。鏡台。衣装箱。箪笥。

小さな小さなお盆に乗った、赤い漆器のお椀がひと揃い。ごま粒のように小さい文字で書いてある本まである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る