第30話

光はそのままざっ、ざっ、と草を踏みしめ歩いてゆく。

「バカらしい。俺は、もう飽きた」

「な、何言ってるの、光?」

「他の者のために己を犠牲にすることに飽きたと言っている。統率者としての人生などうんざりだ。なぜ、死してまで導かねばならない。いい加減自分たちで道を決め、進むがいい」

「ひか・・・・・・」

「おまえの望みは、すべて叶えると言ったはずだ」

かぐや姫を見るまなざしが、愛情の中に深い哀しみを含む。

城主だった光之は幼い頃より幾度も毒を食事に盛られ、暗殺者に狙われ、常に気の許せない人生を送っていた。

だから。

食事に毒を入れる事など、思いもしないかぐや姫に惹かれた。

媼と翁、ハクに大切に守り育てられていた世間知らずの美しくたおやかで無邪気な少女。

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