第15話

「いやぁあああああああっ」

狂乱し泣き叫ぶかぐや姫を、月の侍女たちがおろおろと取り囲む。

「しっかりなさいませ、夜叉姫さま。ただいま医師をお呼び致します、お母様もいらっしゃいます」

薄れゆく意識の中で、かぐや姫は心で呟く。

夜叉姫。

私は、そんな名では、ないわ。

かぐやよ。

夜を輝かせるほどに美しい娘だと。

優しいおじいさんとおばあさんが、つけてくれた。

今なら、わかる。

なぜ、光が私に佐伯光之と名乗らなかったのか。

光と呼ばせたのか・・・・・・。

部屋に運ばれ、医師に薬を処方される。

「すぐに、夜輝天女様がいらっしゃいます」

そう言った侍女に、

「冷たい水が欲しいわ」

と呟いた。

「はい、ただいま」

そう言って水差しの水をグラスに入れようとした侍女に、鋭く告げる。

「月の泉で汲んできて!」

「えっ・・・・・・で、でも、半時はかかって・・・・・・・」

「だったら早く行きなさい!」

「は、はい!」

侍女は水差しを持ち、バタバタと駆けだした。

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