第16話
透き通るレースが垂れ下がる天蓋付きのベッドからそっと抜け出す。
そして、宝石で飾り立てられた衣装箱をカチリと開き、脇差しを取り出した。
光がかぐや姫を守ろうと夜輝天女の背中を突き刺した脇差し。
たった一つだけ残った、人の世界との繋がり・・・・・・。
ねぇ、光。私たちは、鬼と人間。
でも、あなたは最後に私の名を呼んでくれた。
たった数回の短い逢瀬の中で、私たちは愛し合った。
私も。逝くわ。待って、いて・・・・・・。
首をのけぞらせて刃先を向ける。
頬を涙が伝い落ちると同時に、その白いのど元を刃が貫いた。
血だまりの中に倒れ伏すかぐや姫を見て、夜輝天女は深くため息をついた。
泉の水を汲み、戻ってきた侍女は悲鳴を上げる。
「愚かな娘。我らは神じゃ。天命が尽きる前に死ぬことなど、できはしない」
夜輝天女はそう言って脇差しを抜いた。
幼き頃に人間の世界などに親しんでしまったために。
月の世界には無い物を求め、苦しんでいる。
愚かな。哀れな。夜叉姫・・・・・・・。
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