第12話

ぴゅん!

と矢が空高く消える。

だが、それは途中までまっすぐに昇ったものの、やがて失速し、大きく弧を描いて落下し始めた。

勢いがあるので、光たちの立つ場所とは遥か遠くへ落ちる。

光はため息をつくと、かぐや姫に手を出した。

「かぐや、矢を出せ。次は落とす」

「何を言っているの?矢は一本きりよ」

「なに?それでは、一度しか射ることができなかったのか?なら、なぜそうと・・・・・・」

「誰もそんなことは言っていないわ。矢は、あるのよ。あそこに」

かぐや姫の白い指先が、矢が消えた方向に向かって伸びる。

「・・・・・・!・・・・・・」

「あら。止めるの?やっぱり、たいしたこと・・・・・・」

「言うな!待っていろ、次は必ず落とすからな!」

裾をなびかせて矢を拾いに走って行く光の後ろ姿に、かぐや姫はクスクス笑うと、石の上に座った。

頬杖をついたかぐや姫に、今の幸せが身に染み渡る。

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