第35話

美花穂はもううんざりしていたのだ。

凌の身勝手さにも、さゆの子供っぽさにも。

せっかくの正月。早く、ハクと二人きりになりたかった。

寿命のことだって、早く何とかする方法を見つけたい。

何か、あるはずだ。秘薬とか。

出会った日にも、ハクは朝には消えてしまうと言っていたのにもう二年も元気でいるのだから。

美花穂は、楽観主義だった。元からそうだったわけではなく、龍と付き合っているうちに現実の感覚では対処できない出来事が積み重なり、根拠はなくてもすべてうまくいく、と考える方が楽だと気がついたのだ。

「大丈夫です。彼と話をするのにいい方法を見つけましたから」

ハクは穏やかに答えると凌の部屋へ向かった。

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