第21話

『俺、ずっと兄ちゃんを助けたかったから。

小学三年生だった時の正月。兄ちゃんと凧揚げしていた。

空が青くて、すごくきれいだった。そこに、兄ちゃんが高く上げた凧がかっこよく飛んでて。俺も真似したけど、俺のは全然上がらなくて。躍起になってたら、屋根にひっかかったんだ。俺は何も考えず。ためらいもなく、言った。

兄ちゃん。取ってきてよ。

兄ちゃんは

え~。しょ~がねぇな

と笑って言って。二階の窓から屋根に出た・・・・・・。

小五だった兄ちゃんはスポーツ万能で頭が良くて。なんでも、できた。できると。思っていた・・・・・・。

雪が積もった屋根から足を滑らせた兄ちゃんは、落下して。

コンクリートに後頭部を打ち付けた。

白い雪の上に、兄ちゃんの頭から流れ出た黒い血が広がって。握りしめた手から、どんどんぬくもりが消えて行った・・・・・・。

兄ちゃんは、そのまま目を覚ますことはなかった。

親も誰も、俺を責めなかった。だけど。俺のせいだと、思った・・・・・・。

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