第17話

目にしたとたんに胸を突き上げる息苦しさに全身が大きく震える。

うまく。酸素が入って来ない。

心臓が巨大な手で掴まれてでもいるかのように、苦しい。

きつく目を閉じる。

やはり。こんなもの、捨ててしまった方がいい・・・・・・。

蟲をうつされ、精神を病んだ和彰。

どれだけ恨み辛みが書かれていることだろう。

だが。もしかして、和彰だけが知る情報が、何かないだろうか。

たとえどれだけ恨み言が書いてあったとしても、その中に。

蟲のことについて、何か・・・・・・

覚悟を決め、再び封筒を開いた。

『凌へ

栄和大学医学部に入学させてくれて、ありがとう。

おかげで、ずっと夢だった医者を目指すことができた。

って。なんのことかわかんないよな。

凌が辞退した奨学金。あれ、時点は俺だったんだよ。

うちにはとても医学部に通うだけの余裕はなくて。

奨学金が受けられないなら、地元の大学に行って教師になる約束を親としていたんだ。

でも、ずっと医者になりたかったから。

夢を追うことが出来て、幸せだった。

俺、ずっと兄ちゃんを助けたかったから。』

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