第16話
表書きには
佐伯 凌 様
差出人は『岸本 信彦』。
和彰の、父親だった。
封筒を持つ手が、震える。
学生だった自分を・・・・・・日常の全てを捨ててこの家へ引越して来る前日に届いたその手紙をとても開封できず、本を積んだダンボールに突っ込んだのだ。
思わず破りかけたとき。
和彰のやせ細った姿が浮かんだ。
そうだ。蟲に怯える苦しみを共有できるのは。和彰一人だ・・・・・・
指先を震わせながら封筒を破く。
『佐伯 凌 様
生前は息子、和彰と仲良くしていただきありがとうございました。
先日、息子の部屋からあなた様充ての手紙が出てきました。
ご迷惑かとも思いましたが、できましたら和彰の最後の気持ちを、聞いてやってください』
そして『凌へ』と書かれた白い封筒が、同封されていた。
和彰の、字だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます