第3話

ふらつく足でなんとか車へ行き、妖怪狐の尾を取り出すと、登山ナイフで切り取り口に含んだ。

霊水と共にごくり、と飲み下しながら。

きっと。そう遠くない日に蟲が再び目覚めるのだ、と思った。

「くそ!」

凌はやり場のない怒りをぶつけるようにナイフを木に突き立てる。

ナイフは突き刺さったままびりびりと震えた。

「やれやれ。危ないなぁ」

ハクはため息をつく。

いくらさゆの命を助けたとはいえ、あんなに殺気だっているところにのこのこ家に戻ろうとすれば本気で襲いかかってくるだろう。

ハクに全く気づかない凌は、そのまま地面に突っ伏すと、激しく地面をたたきながら嗚咽していた。

「ちくしょう・・・・・・ちくしょう!」

そう遠くない日に。

再び蟲が内側から自分を喰む音に怯えながら、妖怪を狩って行く日々が続くのだ。

やっと。手に入れたこの平安な日々だったのに。

「・・・・・・」

それを見つめるハクの束ねた銀髪が、しっぽのように風にゆらめいていた。

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