第4話
夜が明けるか明けないかの頃に寝台を出たが、スティーブはすでに起きていた。
「もう起きていたんですか」
「お前こそ、まだ寝ててよかったんだぞ」
「いえ……実は」
ジョージの言葉を遮って、唐突に男が口を開いた。
「なあ、考えたんだが、もし行くところがなかったら、ウチにいてもいいぞ。どうせ部屋も余ってる」
男の申し出に一瞬心が揺れた。だが、それに対する答えは一つしかなかった。
「僕、戻ります」
それが、少年が考えぬいた末に出した結論だった。
「家に? なぜ? 殺されるんだろ?」
「結果そうなったとしても、自分が出来ることを行うために戻りたいんです」
「駄目だ。何をやるのかしらんが、死んだらなんにもならないんだぞ! お前みたいなガキに何ができる!」
王だから、とは言えなかった。
だからジョージは無言で男の顔を見つめた。決して翻らない意志を瞳にこめて。
「……馬鹿なガキだ」
ため息をこぼした男は、自分の息子に対するように少年の小柄な体を抱きしめる。
「いいか。戻ってこい。いや……戻ってこなくてもいい。せめて死ぬな」
少年はスティーブの胸の中で泣きながら頷いた。
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