第2話 いきなり国外追放

俺達は床に陣が描かれた場所にいた。


これはもうテンプレ展開だ。


次に司祭か王族辺りがやってきて説明をし出すだろう。


「ようこそ、バーチューリバー王国、異世界から呼ばれし勇者一行の皆様、どうかこの国を救っていただきたい」


髭を長く蓄えた冠を被った悪人ヅラのおっさんがそう言い出した。


「ふざけるな!いきなりこんな訳のわからん場所に来たかと思えば『この国を救え』だと!」


「そーだそーだ!家に帰してよ!」


「生徒に人殺しをさせる気か!」


その場にいた普通科の生徒と教師達がヤジを飛ばす。


その次は衛兵達が抜剣し、俺たちを脅すのがパターンだ。


「貴様ら!誰の許しを得て口を開いている!」


衛兵が剣を抜こうとするとおっさんが衛兵の方に手を乗せ「よい」と低い声で言う。


「そなたらの言い分もよく分かる。しかし、我々も元の世界に帰す方法を知らんのだ。この国のことをよく知り、魔王を討伐してほしいのだ」


それからと言うもの、今のこの国の現状、魔王が復活して各国が魔王軍の襲撃に喘ぎ苦しんでいる。


言い伝えによれば、異世界から召喚された勇者はこの世界の住人よりも潜在能力が高いようで、魔王を討伐できるとかなんとか。


俺がマブダチから聞いた異世界の話とは全く違うことに疑問を抱いていた。


マブダチの嫁でもある王女は潜在能力が凄まじく、魔王軍幹部とも対等に戦える戦力を有していた。


「王子、今からここで何が起きてるのか手紙に記しましたのであとでチェックしてください」


俺を王子と呼ぶ女の名はアルル、褐色肌にスレンダーな美女だ。


『バーチューリバー王国は民に過度な年貢を取り立てる極悪国家です。極東から流れ着いた民族国家ですので隣国のワトソン王国とは敵対しています。すぐにでもワトソン王国に亡命してください』


アルルから手渡された手紙にはそう記されていた。


おっさんが延々と長話をしていたのに気づかなかった俺は名刺サイズのプレートが眼前に現れてようやく我に帰った。


「ジン、ステータスプレート渡されたから早く受け取って……」


俺にステータスプレートを渡しながら頬を赤らめ眉を吊り上げてる金髪ツインテールの美少女は俺の婚約者のルーシーだ。


ルーシーは所謂ツンデレで料理上手だ。


そして、大の喧嘩嫌いだ。


「ありがとう、どれどれ?」


俺は早速ステータスプレートを確認する。


何を書かれてなかったプレートから文字が浮かび上がる。


名前:ジョルノ・エンキドゥ・アントワネット 種族:神 Lv測定不能

職業:錬成神

HP:測定不能 MP:測定不能

潜在力:SSS 戦闘力:測定不能 素早さ:測定不能

頭脳:S

スキル:コピー、召喚、魔法全般、錬成、生成、投影


俺のステータスが無茶苦茶すぎる。


誰かに見られたら確実にワトソン王国に亡命なんて無理ゲーに等しい。


なんとか偽造できないだろうか、頭の中で考えていたらステータスプレートの内容が変更されていた。


名前:ジョルノ・エンキドゥ・アントワネット 種族:人間 Lv1

職業:なし

HP:1 MP:1

潜在力:E 戦闘力:1 素早さ:1

頭脳:E

スキル:なし


「あ〜あ、俺のステータス低すぎ!異世界に来てもこの扱いかよ〜!しかも、『職業なし』とかふざけてるだろ!」


俺はわざとらしくステータスの低さをアピールしながら嘆く。


耳にしたおっさんは顔を引き攣らせる。


「あの少年のように『職業なし』の者がいたら余の隣にいる王女の元まで来るように」


おっさんは王女の肩に手を乗せ、そう言い残しながら出ていく。


この展開、多分口封じのために森に誘導され殺されるパターンか、口止め料でも渡して国外追放でもするつもりだな。


俺は落ち込んだフリをしながら王女の元へと駆けつける。


「あなた方無能力者にはお話がありますので私について来てください」


王女は愛想笑いをしながらどこかへ誘導する。


俺の後ろにはルーシー、ジヌ、二人目の婚約者のエミリアに護衛のブーディカ、そして普通科の生徒と一緒に長い廊下を歩く。


到着した場所はどうやら応接室のようだ。


応接室なのにお茶も用意されず、俺達は立ったまま説明を受けた。


「ここへ呼んだ理由ですが、あなた方無能力者を公にするわけにはいけないからです。その理由はお分かりですね?」


「よーするに勇者を召喚したのに能力のないただの一般人が混ざってたと各国に知られたくないんだろ?」


「理解が早くて助かります……」


王女は指を鳴らし、衛兵が何かが沢山入ってる袋を投げ捨てるようにテーブルに置く。


「これを差し上げますのであなた方はこれで国を出てどこかで冒険者でもしてください」


そう来たか、だが油断は禁物だ。


「途中に森がありますので、森に入るまではここにいる衛兵達が馬車で誘導してあげます」


王女の顔は笑っているようだが内面はさっさと始末したいのが丸分かりだ。


俺達は碌な荷自宅もできずに追い出されるかのように馬車に乗せられる。


馬車の中はとても激しく揺れ、床は硬くお尻が痛くなる。


その上、馬を早く走らせているから相当追い出したかったのだろう。


「さて、着いたぞ。この森を入って無事に抜けれれば近くに街がある」


「わざわざここまで送っていただきありがとうございます」


何も知らないルーシーは頭を深く下げ礼を言う。


「無事に抜けれればな」


衛兵はニヒルな笑みを浮かべ腰に帯刀してる鞘に手をつけ、剣をゆっくりと抜く。


「悪く思うなよ、これも全て上からの命令だ」


ルーシーを斬りつけようとする衛兵に、俺は四四口径マグナムリボルバーを召喚し、衛兵の頭部を狙撃する。


銃声が鳴り響き、辺りが静まり返る。


衛兵の頭はマグナム弾で撃たれたことにより頭部がバラバラに吹き飛んでいた。


普段は武器を召喚してもゴム弾を装填しているが、ここは異世界だ。


生ぬるいことは言えない。


「きっ、……貴様ぁぁぁぁ!」


「人を殺そうとしといてよくそんなことが言えるな」


唇を噛み締め、複数人の兵が地面を蹴り俺に襲いかかる。


衛兵もまさかこんな展開になるとは思わなかったのだろう。


こんなこともあろうかとあいつは想定していたのだろう。


相手は興奮状態だ。


剣ではなく感情を振り回してるだけだから簡単に避けやすい。


いや、寧ろ相手が外していることに気づいていないのだ。


「戦いの基本その一、興奮禁止」


マグナムを宝物庫に戻し、ガバメントを召喚。


ガバメントの方が連射性はいいのでより効率よく敵を倒せる。



ガバメントを連射すると薬莢が地面に飛び散り、衛兵達の鎧を貫通し、効率よくトドメを刺す。


銃で人を殺した俺を、周囲は引き気味になっており、言葉を失っていた。


「ジン、前から武器を召喚しては発砲してたけど……本当に人殺しちゃうなんて……」


「私を助けてくれた時もジョルノは躊躇わなかったよね」


「ジョルノ殿の強さには驚かされます」


「それはそうと、これからどうすんだよ?」


ジヌは今後どのようにするのか俺に問う。


「この手紙には『ワトソン王国に行け』と書いてあるからそこに行こうと思う」


「ワトソン王国ってもしかしてラノベに出てきたあの国のこと?」


「多分、そこに行けば俺のダチもいるだろうから」


ワトソン王国とは俺がイラストを担当しているライトノベルに出てくる地名のことだ。


ダチの義妹は現役中学生でありながら売れっ子ラノベ作家でもある。


小説の内容はダチが異世界帰りに起こった出来事を元に執筆し、そこから肉付けしてオタク向けにアレンジしている。


そのダチは何らかの方法でまた異世界に戻ってしまったが、まさか俺たちがその異世界に来ることになるなんて想像もしていなかった。


この世界で生き抜くためにも、仲間たちを育成する必要もありそうだし、今後の課題は山積みだ。

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主役になれなかった少年は異世界で無双する JoJoROCK @jojorock

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