必要悪の魔王
プロローグ:終わらない平和
勇者レオンはかつて魔王を討ち、世界に平和をもたらした。
しかし、それは理想とはほど遠いものだった。
魔王の支配が消えたことで、各国は均衡を失い、領土を巡る争いが絶えなくなった。
人々の心には恐怖が宿り、かつての魔王軍の残党は復讐を誓い、新たな脅威となった。
「このままでは、世界は滅びる……」
その時、レオンは気づいた。
“魔王”という存在が世界の安定に必要であったことに。
彼は決断した。
自らが新たな魔王となり、世界を統治することを。
「世界のために、悪になろう」
かつての仲間たちには自らの死を偽装し、闇へと消えた。
そして――新たな魔王が誕生した。
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第1章:新たなる勇者
「勇者に選ばれました!」
城の広間で、青年エリオットは剣を掲げた。
「私が……勇者?」
驚きとともに、それは使命となる。
大陸に君臨する魔王を討つため、彼は旅立つことになった。
仲間として同行するのは、幼馴染である僧侶セラと魔法使いカイル。
二人は小さい頃からエリオットを支えてきた心強い相棒だった。
「魔王なんて、さっさと倒して平和を取り戻そう!」
そう意気込むが、エリオットはどこか違和感を覚えていた。
世界には、魔王による支配の痕跡があるものの、混乱はなく、むしろ安定しているように見えたのだ。
(魔王って、本当に討つべき存在なのか……?)
その疑問を胸に秘めたまま、旅が始まる。
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第2章:謎の武闘家
旅の途中、彼らはある闘技大会に参加することになった。
そこで出会ったのは、屈強な武闘家シオン。
「俺もお前らと旅をしてみたい」
理由を明かさず仲間に加わった彼は、驚くべき強さを持っていた。
しかし、どこか只者ではない雰囲気をまとっていた。
ある時、魔物に囲まれた危機の中で、シオンはあり得ないことをする。
――強力な魔法を放ったのだ。
「武闘家なのに……魔法が使える?」
エリオットは疑念を抱くが、シオンは笑って誤魔化した。
「まぁ、ちょっと特別な訓練を受けたんだよ」
しかし、彼の視線の奥にある何かが、エリオットの心をざわつかせた。
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第3章:魔王城へ
旅の果て、ついに魔王城へとたどり着いたエリオットたち。
そこに待ち受けていたのは、圧倒的な威圧感を放つ魔王。
そして、彼の口から語られた衝撃の真実――
「俺は、かつての勇者だ」
魔王レオンは、かつての勇者であり、
世界の安定のために、あえて魔王になったのだと告げる。
さらにシオンが前に出る。
「俺もお前の仲間だった……かつては“賢者”としてな」
武闘家シオンの正体は、レオンの元仲間であり、
かつて勇者パーティーの賢者だったのだ。
「俺はずっと見てきた。お前がどれだけの覚悟で魔王になったのかを……」
シオンはエリオットを見据える。
「エリオット、お前は本当に魔王を討つつもりか? それが世界のためになると、本当に信じているのか?」
世界を救うための戦い。
その裏に隠された真実。
エリオットの剣が震える。
彼が選ぶ答えとは――
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