第35話

もう、無理だと思った。


もう、駄目だと思った。


もう、会えないと思った。



「ユラちゃん!!!!!!!!」


「……ダイ、チくん」



タクに突き放されたアタシはそのまま乱の溜まり場である此処を立ち去った。


借りてたモバイル充電器はしっかり返して、お礼も再三伝えた。


……リュウさんにも、お礼を伝えた。


リュウさんはアタシの手に困った事があれば助けてやると言って、自分の連絡先を渡してくれた。



「会えた、の?」


「……会えたよ、会えた」


「でも、ユラちゃん……」


「大丈夫、大丈夫だから!!ごめん!!勝手に一人で突っ走っちゃって!!」



どうにもsilentと乱の仲は悪くないらしいが、乱の本拠地に入れる程の仲の良さでは無いらしい。


その証拠にダイチくんやゆっくん、その他silentメンバーは此処には居るけど中には入れないらしい。



「大丈夫、じゃねぇだろ」


「大丈夫なの、本当だよ?タク、ちゃんと生きてたから」


「そうじゃねぇよ!!」


「……大丈夫だから、本当ごめんね」


「……ッ泣いてんじゃねぇか」


「止め方、分かんないの、ごめん。……ごめんっ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る