第33話
何を話そうか、何を言おうか、なんて考えはもう吹っ飛んでいて、只会いたかったとそう伝えた。
「……俺は、会いたくなかった」
「でも、アタシはずっとっ!」
「止めろ、聞きたくねぇ。会いたくなかったよ、お前だけには」
彼の目はアタシを拒絶している。
前よりもっともっと消えそうになっている気がする。
そんな事彼の目を誰よりも見てきたアタシは分かる。
「勝手にっ……居なく、なんないでよっ」
「……煩ぇ」
「寂しいよ、タクが居ないと」
「……っるせぇ」
「アタシの事、嫌いになっちゃったの?」
「……嫌いだよ、だからもう二度と」
「嘘つかないでよっ!!じゃあなんでっ、泣いてるの!?」
アタシの背後からぱたんと扉が閉まる音がした。
アタシはタクの前に歩いて進み、彼を近くで見ている。
ベッドに座っている彼の目線に合うようにアタシも屈む。
ぽろっと一つだけ彼の目から落ちた涙を見逃さなかったアタシ。
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