第31話
「リュウさんっ」
「あー、着いて来ちまったのか。態々傷つきに行く事ねーだろ?」
「でもっ、アタシっ……」
「はぁ……俺な、お前の事知ってた」
「え……?」
彼の長い足に追いつくにはアタシは駅でしたようなダッシュをしなきゃいけなかった訳で。
なんとか追い付いた彼から放たれた一言に動揺を隠せずに居る。
「知ってたっつっても直じゃねーぞ?まあ何となくお前だって分かってた」
「どう……いう、意味?ですか」
「それより今はタクだな……着いてこいよ」
再び長い足を進める彼の後を追うアタシ。
知ってたって何?アタシ、リュウさんの事知らなかったけど?
そんな事を考えてたら目の前には扉があって、その前で彼は止まる。
「タク、居る?」
「……居る、何」
久しぶりに聞く彼の声はあの時と何も変わらず、枯れた筈のアタシの涙はぼろぼろと零れ落ちてシミを作った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。