第30話

「で?」


「で?ってリュウ、お前な?脈絡がねーんだっつの……」


「タクは?一緒に来たろ」


「タク?あぁ、裏でヤってんじゃねーの?」


「……だとよ、ユラちゃん」


「……」



タクの姿が見えないと思えば、一緒に連れてきていた女の人と……らしい。


やっぱり、嘘じゃないんだ。


現実なんだ。


そんな事、知りたくなかった。



「つーかこんな所でヤるか?彼奴何時もホテル行くだろ」


「はぁ、しゃーねーな。見てきてやるよ」



どうしたらいいのか分からない。


彼はアタシが好きな彼じゃないの?


そう思っていたら自然と膝の上で握りこぶしを作っていて、自分の長いネイルが食い込む程に強く握り締めていた。



「おー、程々になーって言っとけよー」



様子を見に行くと言ったリュウさんはこの部屋を出て行った。


アタシ、タクと話す為に来たんだ。


こんな所に座ってたって話せない。


そう思った時にはリュウさんの後を追っていて、アタシも彼の後を続いて部屋を飛び出た。

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