第29話

緊張する云々の前に、タクに会うという事はつまりは隣に居た女の人も見なきゃいけない訳で。



「リュウ、おっせぇよ!!」


「悪い悪い、アカネら連れてきた」


「アカネ!家に帰ってこねーってどーなってんだよっ」


「コトハうっさい!皆さん今晩は〜お邪魔しまーす!」


「ユミちゃんも久しぶりだね〜!元気だった?」


「コトハさんお久しぶりです!……お邪魔します」



二階席に上がるとリュウさんを除く乱の幹部らしき人達がソファにそれぞれ腰掛けていて、真ん中の大きなソファだけ空席だった。


そこにリュウさんとアカネ、ユミが続いて腰を下ろした。



「あれ?この子は?……初めて見る顔だ〜」



始めてくる場所にどうしていいのか分からず、入口付近で突っ立っているアタシ。


周りを見渡したけど、タクの姿は見えない。



「あ、名前聞いてねーや」


「おいおいリュウ、そんな奴連れて来んなよ」


「マキさん!この子ユラちゃん!」


「へー、綺麗な顔してんなー」



こっちに来いとリュウさんの隣をぽんぽんと優しく叩かれて、お邪魔しますと小さな声でハッしたアタシはそこに座った。

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