第5話
アタシが自分を保てているのはどう考えてもこの人達のお陰だ。
ヒビキはアタシには何も聞かないし、何も話さない。
そのスタンスは出会った頃からずっと変わらず継続中。
それでもアタシに向けてくれる視線が優しい事も、何よりアタシの事を優先して動いてくれている事も知っている。
現に此処で『タクを探して欲しい』と言えばすぐに探し出して連れて来てくれると確信してる。
大きくて海のような心の持ち主だと思う。
アタシはそれに沢山甘えている。
その海にゆらゆらと揺られている。
「女神さまー‼久しぶりー‼きゃー‼今日も可愛い‼バーチャルの世界かよ‼本当に同じ人間⁉LJK⁉信じらんない‼」
「ヒイロちゃん久しぶり。……相変わらずだね、ありがとう」
アタシの隣に座っていた筈のヒラさんがいつの間にか突然登場したヒイロちゃんに押しのけられていて、アタシの隣はヒイロちゃんへと早変わり。
煩いのが来た、と項垂れているヒラさんを気にする様子も無く、ぱしゃぱしゃと何枚もアタシの写真を撮るヒイロちゃん。
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