第2話
香織ちゃんとは神社の鳥居のところで待ち合わせだ。ボクが行くと、香織ちゃんは先に来て、鳥居の下でボクを待っていてくれた。ボクを見つけた香織ちゃんが手を振る。香織ちゃんの笑顔がまぶしい。
ボクは香織ちゃんと並んで、人で混雑する神社の中に入っていった。ホントは手をつなぎたかったんだけど・・・ボクにはその勇気がなかった。
人を掻き分けて中に進むと・・・眼の前に高さ3mほどのひな壇が現れた。ボクは初めてこの『ひな祭り』に来たのだけれど、設置されているのが、こんな大きなひな壇だとは知らなかった。なんとなく、もっと小振りのひな壇を想像していたのだ。
ボクは香織ちゃんと並んで、ひな壇を見上げた。ひな壇の上には、お雛様とお内裏様が鎮座している。どちらもキレイなお顔だ。
あれっ? ボクは首をひねった。お雛様の顔・・どこかで見たような・・・?
すると、香織ちゃんがボクの手を握った。ボクはビックリしてしまった。あまりのことに、ボクの鼓動が激しくなった。心臓が今にも口から飛び出しそうだ・・・
ボクの手を握ったままで、香織ちゃんが言った。
「あのね、ここで・・・こうして・・・お互いが『好き』って言い合うと・・・永遠の命が得られるのよ」
思わぬ展開に、ボクはすっかりのぼせ上がってしまった。かろうじて、「はぁ」という、とぼけた声が出ただけだった。
香織ちゃんが続ける。
「だからね・・『好き』ってお互いに言い合いましょう。私ね、あなたが・・好き」
ボクは生唾を飲み込んだ。そして、言った。今度はちゃんと声が出た。
「ボクも香織ちゃんが・・・好き」
その途端、ボクの意識が薄らいだ。
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