ボクの怖ぁい～ひなまつり

永嶋良一

　３月３日は、ひな祭りだ。でも、ボクはオトコの子だから、そんなの関係ないのだ。ひな祭りって女子の行事だし、男子で高校生にもなったボクには縁もゆかりも無いというわけだ。

　でも、今年は違う。クラスの香織ちゃんに誘われたのだ♪　

　香織ちゃんは、ボクのクラスに今日転校してきたばかりの女の子だ。ボクは香織ちゃんを一眼見て・・・そのかわいさにキュンとなってしまった。その香織ちゃんが放課後ボクの席にきて、こう言ったんだ。

　「今日、首替え神社のひな祭りに一緒に行きましょう」

　ボクは舞い上がってしまった。

　首替え神社は村はずれにある。小さなお社があるだけの古い神社なんだが・・・ひな祭りの時期にだけ、お社の前にひな壇が飾られて、『ひな祭り』が行われるのだ。神社の名前を付けて、『首替えひな祭り』って呼ぶ人もいる。この神社で昔からずっと続いている伝統行事らしい。伝説によると、お祭りの期間にひな壇の前で、手をつないで愛を誓った男女は、ひな壇のお雛様とお内裏様と首が入れ替わって・・・人形のお雛様とお内裏様として永遠に生き続けるのだという。

　ボクはもちろん、そんな伝説は信じちゃいない。でも、そんな伝説のある神社で、転校してきたばかりの香織ちゃんとデートだなんて・・・とってもロマンチックじゃないか。香織ちゃんが、どうして会ったばかりのボクを誘ったのかは分からないが・・・そんなことは、この際どうでもいいじゃない。

　ボクはちょっぴりおめかしして、いそいそと首替え神社に出かけたのだ。