第5話 皆のお兄ちゃん・トラ
ある日、隣のおばあちゃんが『すぐそこの電柱の所に猫捨てられてるんやけど助けててあげられやんか?』と訪ねてきた。
すぐにでも助けてあげたいとは思ったものの子供の私ではどうすることもできんくて、とりあえず母の帰りを待った。いつだって決定権を持つのはお母さんなのさ。
姿を見てしまったら絶対連れて帰る自信しかなかったから母が帰って来るまでは猫の様子を見に行けやんかった。母の帰りが待ち遠しかったよ…。
で、母が帰宅するなり猫の話をした。そしたらすぐに猫の所に見に行ってくれて。
ただこの時私も一緒に見に行ったかどうか覚えてないんよなあ。
結果的にはその猫は家で保護することになった。トラと名付けられた。
母曰く、電柱の所に袋に水とパンくず?みたいなんと一緒に捨てられてたらしい。最低。
とにかくグッシャグシャやったし体も冷え切ってたから温めなあかん。もうこれで死んでしまっても仕方ないと覚悟を決めてお風呂に入れたらしい。
無事生き延びてくれたんで次の日すぐに病院へ。
風邪ですよね、そりゃ。というわけで、他の子に感染ったらあかんからとケージで隔離することになった。
ところがどっこい。君風邪引いてるやんな?なんやったら昨日死にかけてたやんな?
めっっっっちゃくちゃ元気やん???ケージの中で暴れ散らすやん??
あまりのうるささにもう耐えられないっ!となり、他の子に感染ってもしゃあないっとトラを解き放つことにした。
結局誰にも風邪感染らんかったし、めちゃくちゃ元気になった。
こうして我が家の一員となったトラ。
お兄ちゃん属性をやったらしくトラ以降我が家入りした子達の面倒をよくみてくれた。なんやったら私の従兄弟が家に遊びに来た時も面倒みとったわ。
だから下の子達にすごい慕われてたなあ。
それにあんな最低な捨てられ方したのに人間不信になる事無く人懐こい子に育ってくれた。お客さんおもてなし係やったなあ。
ほんまに優しくて良い子やった。
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