MMC外伝 雛祭りコマンドーズ
ムネミツ
MMC外伝 雛祭りコマンドーズ
「雛祭りと言えば、お内裏様とお雛様ですね勇太様♪」
ブラックシードラゴンメイドのメーアさんが笑顔で尋ねる。
「お坊ちゃまはお内裏様ですが、ここにいる誰をお雛様に選びますか?」
アラクネメイドのクーネさんが選択肢を出して来た。
「雛とは姫、ならばミイラの姫である私が最適です~♪」
ミイラメイドのマミーラさんが自己アピールをする。
「家柄でしたら私も負けておりませんわ♪」
吸血鬼メイドのヴィクトリアさんも張り合う。
「このアネット、愛と忠誠心ナンバーワンでちゅ!」
ワーウルフメイドのアネットさんも挙手。
「リータは主の体内に入れるので、どうでも良いです♪」
イフリートメイドのリータさんは気にしていなかった。
「いや、それ以前に主を蜘蛛の糸で拘束するなよ!」
俺、晴間勇太は屋敷の地下基地のラウンジで、黒ひげ危機一髪みたいに拘束されていた。
ヒーローとして悪と戦う生活の中、仲間達とはちゃめちゃな暮らしをしてます。
雛祭りと言う事で、俺をお内裏様にしてリアルお雛様ごっこをしたいと言い出したメイド達により俺は困惑していた。
「いや、もう全員お雛様で良いじゃん!」
強欲に全部選ぶよ、差は付けない。
「はいは~い♪ 私がお雛様になりま~す♪」
虚空から現れたのは、暴食の魔王の姫。
牛耳と角を生やした美少女モグリーナさんだ。
着ている服は、赤茶けた騎士鎧。
「やっほ~♪ お兄さん、私とだらだらとゲームしよ~♪」
続いて出て来たのはオレンジ色の熊のパーカーを着た美少女のエリザベス。
彼女は体他の魔王の姫。
「勇太~~~っ! 姉を呼んだか!」
更には、上下黒皮のジャケットとパンツを着た筋肉質なお姉さんことイーラ。
憤怒の魔王の姫だ。
色欲の魔王の王子である俺をいっれば、七つの大罪のうち四つの大罪が揃った。
「あらら~? 大罪の王家の方が来ちゃいましたか?」
クーネさんが俺の拘束を解いてくれた、これで動ける。
「雛祭りと聞きまして、ぜひとも散らし寿司パーティーをやりたくてお誘いに来ました♪」
モグリーナさんは、ウキウキで用件を述べる。
流石は暴食、食欲が強い。
「ちょっと待ったでちゅ! こっちはこっちで雛祭りの血祭りバトルを!」
「おお? 今、血祭りって言ったか♪」
「アネットさん、イーラを刺激しないで!」
憤怒の魔王の娘の前で血祭りとかバトルとか言わないで!
俺の平和が壊されて行く中、基地の内部にアラートが響き渡る。
「むむ~! これは事件ですね、腹ごなしに解決しちゃいましょう♪」
「へっへへ、暴れたい所だったから丁度良いぜ♪」
「え~~~? こんな時に面倒臭いな~~?」
モグリーナさん、イーラ、べスの興味が事件の方へと向く。
「く、何と言う好事魔が多し!」
ヴィクトリアさんが悔しがる。
「これは、さっさと事件を片付けろと言う思し召しですね~?」
「何処の神様の思し召しかは知らないけれど、やるしかないよね?」
「では、お雛様のポジションは事件の原因である怪人を倒した人で♪」
「いや、とにかく全員出動!」
俺はマカイザーに変身して、メイド達と共に出撃した。
「ちょ、何だこの甘ったるい臭いは? 嫌いじゃないが、イライラするぜ!」
イーラは眉を顰める。
「おお~、美味しそうな桜餅の臭いですね~♪」
モグリーナさんは、嬉しそうだ。
「お茶が欲しくなるな~♪」
エリザベスも楽しそう、戦いの場だぞ?
街中に漂うあんこの香り、人々が巨大な桜餅にくるまれて苦しんでいた。
「気持ち悪い、助けてくれ~!」
「おかあさ~ん、助けて~~~!」
「ええい、餅なんぞ食えば、ふがっ!」
「ひい、お爺さんが桜餅を喉にっ詰まらせたよ~!」
老いも若きも桜餅に包まれて簀巻き状態、何気にピンチだ。
「よし、魔界メイドの皆は人々の救助に回ってくれ!」
「「イエス、マイロード!」」
俺は変身したメイド達を市民の救助へと向かわせる。
人手は大事だ。
「それじゃあ、犯人を探すね~♪」
エリザベスはタブレットPCを召喚して索敵。
「おいモグ公! 食おうとするんじゃねえ、勇太が悲しむだろうが!」
イーラは、モグリーナさんを羽交い絞めにする。
「た、食べませんよ~~~? うう、人の部分以外なら食べても良いですか?」
モグリーナさんは桜餅が食いたくて仕方なさそうだった。
「絶対にダメです、イーラお姉ちゃんはモグさんを羽交い絞めにしてて!」
「ああ、任せろ♪ お姉ちゃんはお前の味方だ♪」
うん、イーラは狂暴な親戚のお姉ちゃんだけど話を聞いてくれるからありがたい。
「お兄ちゃん、北に五十メートルの方向に反応ありだよ!」
「わかった、行って来る!」
俺はエリザベスの指示で走り出す。
すると、案の定商店街の和菓子屋の前で人々を桜餅に包む怪人を発見した。
「モ~チモチ♪ 人間どもを桜餅にしてやるモチ~♪」
「そこまでだ、ハーベストの使い魔獣!」
俺は頭が桜餅の黒タイツ人間へと向かい叫ぶ。
「むむ、貴様はマカイザー! お前も桜餅にしてやるモチ~~!」
「食べ物も人々も粗末にするんじゃねえ!」
どこかからゴングの音が鳴り響き、戦いが始まる。
「くらえ、桜の葉バインド!」
俺に向かい、怪人が巨大な桜の葉を生みだして振るう。
「舐めるな、チェンジイフリートマカイザー! バーニング!」
俺は真紅のガントレットとレガースを装備した姿にフォームチェンジ。
全身から炎を燃やして桜の葉を焼き尽くす。
「まだまだ、あんこバレット!」
次に怪人はあんこの砲弾をこちらにばらまく。
「暴食の加護発動、喰らいつくせグラトニーパンプキン!」
俺は、眷属を生み出す力を使い、ベルトのバックルから無数のオレンジ色の南瓜のお化けを発射してあんこを全部眷属達に食わせる。
「モチ~~! 俺のあんこが全部食われたモチ~~!」
「食い物は粗末にしない! 断罪の時間だ、グラトニーパンプキン集合!」
敵のどよめきに俺は仮面の下でニヤリと笑う。
そして、生み出した眷属達が俺の頭上で巨大なお化けカボチャになる。
「食われて滅べ、パンプキンイート!」
「うぎゃ~~~っ! 吸い込まれるモチ~~!」
俺が生み出した巨大お化けカボチャの口に吸い込まれて行く怪人。
カボチャからごくりという租借音がすると共に、桜餅に包まれた人達は元に戻った。
「よっしゃ、事件解決♪」
お化けカボチャを消して、勝利を確認する俺。
こうして、事件は無事に解決したのであった。
「さあさあ皆さん、暴食の国特性の超巨大散らし寿司ですよ~♪」
「いや、モグさんこれは巨大すぎるでしょ? プールですか?」
「えへへ~~♪ 特性の超巨大寿司桶ですよ~~♪」
寿司職人風の着物姿になったモグリーナさんが、子供用プール程の大きさの寿司桶を自慢する。
寿司桶の中には、満杯の散らし寿司。
基地に戻った俺達は、魔界の暴食の国の王城の広間での散らし寿司パーティーに参加する事になった。
「おお、美味そうだな勇太にはお姉ちゃんが食べさせてやるよ♪」
「ああ、お手柔らかにお願いしますお寿司を寿司桶によそわないで?」
俺はと言うと、イーラに出前用の寿司桶に小分けされた散らし寿司を渡される。
「ちょっと待った! お坊ちゃまのお世話は渡し達の担当ですよ!」
「そうでちゅ、お坊ちゃまを返すでちゅ1」
クーネさんとアネットさんが俺とイーラの間に割り込んで来た。
他のメイド達は散らし寿司をモリモリ食べていた。
「まあまあ、みんなで仲良く食べましょう♪」
モグリーナさんが、クーネさん達にも小さい寿司桶に散らし寿司を盛り付け渡す。
地上でも魔界でも、とんでもない雛祭りとなったのであった。
MMC外伝 雛祭りコマンドーズ・完
MMC外伝 雛祭りコマンドーズ ムネミツ @yukinosita
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます