世界に立つ難しさ
- ★★★ Excellent!!!
昔のすごい人の話を聞いていると複雑な感情に触れることがよくあります。
私はカントという哲学者が好きなのですが、彼は倫理学を作りました。倫理学そのものです。どうしたらみんな仲良く平和に暮らせるかをすっかり文章にして残しました。だけど今でもこの世は全然いい感じじゃないです。
正しいことを言ったのに全然その通りにならなくて、いったいどんな気持ちで生きて死んでいたのだろう。調べてみたら、案外カントは満足していたようです。
でもたぶん想像するより沢山の人が正しさや新しさを発見したのに、うまくいかなかったり、名前さえ残らなかったりしたのだろうなと考えていました。いろいろな人の葛藤のうえに私達の暮らしはあるのかなと漠然と感じてました。
直接体験した人の話が読めるとは思っていませんでした。残っていることの嬉しさ、悔しさ。想像よりずっと深みがあって良かったです。
おすすめです。