第2話 内覧
「あの物件を内覧ですか。」
ネットで見つけた物件の内覧希望でカップがうちの会社にやってきた。
会社は安城駅からすぐのところにある不動産会社で、お客の希望物件は会社から徒歩すぐのところにあった。
話を聞くと、二人は30代手前ぐらいの容姿で、近々結婚を考えており、理想の住まいを探してる最中だと言う。
物件の詳細は築38年建物面積61㎡の二階建て3LDKで庭付き、駐車場有り。古い所以外はいい物件だ。
門扉で物件資料を渡して説明していると、彼女がチャイムを鳴らしてニコニコしている。彼女の行動を彼も微笑ましく見ていた。
少し間があって、門扉を開けて玄関に行くとそこでも彼女はチャイムを鳴らしていた。そう言う癖がある女性なんだと思った。
玄関の扉を開けると残置物が多く残っていた。物件の写真を撮るために来た時と変わらない様子で、あの時は2階の和室がなんだか変な雰囲気がしたので写真を撮ってそそくさと会社に戻った記憶があった。
「家主の方は遠方に住んでおり、もし購入を希望される際は全て処分してくださるそうです。」
二人は物件資料を見つつ、自由に家の中をウロウロ見ていた。
家具もそのままの状態で残っており、人の家に上がり込んでるような雰囲気がし、7.5帖のリビングを見ている時、2階からギシッと大きな音がした。
古い家なので家鳴りですかね〜なんて濁して風呂、トイレを確認して2階へ。
階段が登るたびにギシギシと音を立てた。
2階は6畳と4.5畳の和室があり特段見るべきところは無いはずだったが、4.5畳の和室が雨漏りで天井から壁にかけて黒く変色しており、それを見たカップルは顔が引き攣っており、もう会社に戻りましょうか?と言うことになった。
会社に戻り、先ほどの物件情報を改めて確認していると以前の住人は、あの家で亡くなっており、遠方に住む高齢の両親が現在、あの物件の所有者になっていた。
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