第13話

「良かったら夢幻君、今度から君も春姫に色々教えてやってくれんかね。この子が家族以外になつくのは珍しいことでな。気が合うのかも知れん」

私は思わず、なぜ!と叫びそうになるのを堪えた。父が初対面のこの男をすっかり信用している様子なのが信じられない。…いや、春姫だってそうだ。父の提案に喜びの声を上げている。

(…なぜ…春姫、なぜ…?)

「それから、家政婦の繁村さんだ。まだ妻が生きていた頃から通って来ている。我が家の主婦と言ってもいいな」

「奥様は、お亡くなりに?」

「あぁ、春姫がまだ赤ん坊の時にな。…春姫の病気は母親譲りだ…」

その場がしばらく、重い雰囲気に包まれた。やがて男が口を開いた。

「…僕も両親の記憶は…ありません。僕は捨て子なんです。母の記憶がないから、春姫ちゃんと不思議に気が合うのかも知れませんね…」

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